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研究者の死後、蔵書はどう処分されるのか──の、3つの後日談
整理を依頼された大野盛雄氏(元東京大学東洋文化研究所所長)の蔵書の一部(筆者によるブログより)
<研究者だけでなく、マニアやコレクターからも、共感(?)の意見を多くもらった。書いた私はといえば、またまた蔵書整理で相談を受けることになった>
もう3年もまえのことだが、研究者の蔵書についてこのコーナーで雑文を書いたことがある(研究者の死後、蔵書はどう処分されるのか)。私の書いたものにしては珍しく、けっこう反響があり、いろいろなところから、読んだと読んだとの声を聞いた。
タイトルどおり、研究者の膨大な蔵書が、その主の死後どうなるのかという話を、私自身が関わった、とある著名な中東研究者の蔵書整理のケースを例に書いたものだ。研究者だけでなく、やはり膨大な収集品の行く末を憂慮する、いわゆるマニアやコレクターのかたも同じ悩みを抱えているとみえ、耳が痛いだの、つらいだの、また他人事とは思えないだの、共感(?)の意見を数多くいただいた。
後日談だが、結局、その研究者の蔵書の大半が、引き取り手がなく、古本屋さんに一括で買い取られた。だが、そこでもあまりさばけなかったようで、かなりの量が古書市に出ていたとの目撃談も届いている(ただし、これは私自身が確認したわけではないので、情報としてまちがっている可能性もある)。
もう一つ、後日談がある。私の文章を読んだかたから、すでに亡くなられた、やはり高名な中東研究者の蔵書について相談がきたのだ。
もともとの文は成功例ではないので、相談されても力になれるとは考えづらい。しかも、こちらの研究者は、まえのかたと異なり、高名ではあるものの直接教えを受けたわけでもない。それこそ面識すらなかったのだ。
とはいえ、乗りかかった船、これも何かの縁だろうと、まずは実際に蔵書を確かめてみることにした。なお、蔵書の主は2001年に亡くなられた大野盛雄さんである。長く東京大学東洋文化研究所でイランの農業を研究され、同研究所の所長も務められていた。
1979年の革命前の統計や革命前後のパンフレット類など
大野蔵書中、ペルシア語・トルコ語の文献については東大中央図書館が引き取ってくれることが決まっているらしかったが、それ以外の洋書・和書の大半は廃棄処分が決定していた。しかし、欲しい本があれば、無料で引き取ってもらいたいということで、ご遺族・関係者含め、了解が得られており、廃棄処分となるかもしれぬ蔵書は東大総合博物館の植物研究室に一時的に保管されることになった。
私が蔵書を見にいったのはこの段階である。上述のように、ペルシア語やトルコ語の本はなく、和書と英語にわずかながらフランス語の本も含まれていた。
私とは専門が異なるので、目ぼしい本はほとんどなかったが、1979年のイラン・イスラーム革命前の統計や革命前後のパンフレット類など、今ではなかなか手に入らなそうなものも含まれていたので、それなりに関心をもつ人もいるのではなかろうかと考えた。
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