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円債残高を積み増し、ヘッジ外債は縮小継続へ=太陽生命・24年度運用計画

2024年04月18日(木)19時00分

 4月18日、T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2024年度一般勘定資産運用計画で、ヘッジコストの高止まりを背景に引き続き為替ヘッジ付き外債から円債にシフトする方針を示した。写真は円紙幣。都内で2010年8月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Mariko Sakaguchi

[東京 18日 ロイター] - T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2024年度一般勘定資産運用計画で、ヘッジコストの高止まりを背景に引き続き為替ヘッジ付き外債から円債にシフトする方針を示した。超長期国債や事業債を中心に円債を積み増す一方、外国債券は残高を削減していく。また、政策保有株を中心に内外株式の残高を減少させる。

常務執行役員の清友美貴氏が18日、ロイターとのインタビューで述べた。

<国債は20年債を中心に積み増し>

国内債券は残高の増加を予定している。23年度は、為替ヘッジ付き外債から円債へのシフトを進めたため円建て資産の残高は増加。24年度も引き続き、国債および事業債の残高を積み増していく方針だ。

国債投資は、20年債など超長期債が中心となる。足元の新発20年債利回りは1.6%台にあり「買いやすい水準となった」(清友氏)という。5年ー10年ゾーンを中心とした事業債の残高の積み増しに伴い、期間のマッチングなど状況に応じて20年債以外の年限の選択肢もあるという。

今年度の日本国債10年債利回りのレンジは0.60―1.10%と想定し、緩やかな金利上昇を見込む。ただ「10年債利回りは節目の1%、それに伴い20年債が2%まで上昇した局面は(投資家の)買いニーズが高まる水準とみており、同水準を超えて大きく金利が上昇してくことは難しい」として、年度末は0.90%と予想している。

日銀の金融政策については、今年下期に1回の追加利上げと段階的な国債買入れの減額を想定。来年1─3月期に追加利上げを行う可能性はあるものの、米国の経済状況次第とみている。

<ヘッジ外債の残高削減を継続>

外国債券は、引き続き残高を削減していく。23年度はヘッジコストの高止まりに伴い為替ヘッジ付き外債の残高を減少させた。売却にめどがついたこともあり今年度は昨年に比べると大きな規模ではないものの、残高縮小を継続する。

ただ、米経済失速による株価の急落リスクに備えて「ヘッジ外債はゼロにはしない」(清友氏)という。ヘッジコストを踏まえると米国債はネガティブキャリーとなるものの、事業債であれば上乗せ金利(スプレッド)が付くことで、ヘッジコストを賄えるとみる。

欧州債に関しては、早期利下げの織り込みが進んでいるため買い安心感はあるものの、金利水準の妙味が乏しいという。

米10年債利回りのレンジは3.0%─5.0%で、年度末は3.7%を想定。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策については年内2回の利下げ実施を見込みつつ、インフレ率の高止まりが続けば1回にとどまる可能性もあるとしている。足元の原油価格の上昇でインフレ懸念が強まる一方、いずれ政策金利の引き上げの影響が個人消費に出てくるとみており、「このまま強い米経済が続くのか疑問だ」(清友氏)という。

今年度のドル/円の想定レンジは135─160円で、年度末は145円と円高方向を予想。政府・日銀による為替介入への警戒感に加えて、「日銀の追加利上げと米FRBの利下げなど先々は円高要因がみえてくる」(清友氏)といい、為替をヘッジしないオープン外債には慎重な姿勢を示す。

外貨エクスポージャーは横ばいの見通し。ただ、市況動向に応じてヘッジ率を高めるほか、ヘッジの買い戻しなど機動的に対応していく。23年度は急な円高リスクが後退したことからエクスポージャーの拡大を図り、残高は増加した。

<政策保有株を中心に内外株式の残高減少>

株式については、国内、海外ともに残高は減少の見通し。振替銘柄を含む政策保有株を中心に削減する。23年度は円安進行や収益確定目的により一部を売却し、外国株式は減少。国内株式は一部の政策保有株を圧縮したものの、株価の上昇で結果的に横ばいとなった。

日経平均株価の想定レンジは3万4000─4万6000円で、年度末は4万3000円と予想。年内の米利下げなどを背景とした金融緩和環境を、株価はポジティブに受け止めるとみる。また、中国から引き揚げられた投資資金が日本株に向きやすいほか、低PBR(株価純資産倍率)への対策が評価されれば海外投資家による資金が流入、新NISA(少額投資非課税制度)に伴う個人の資金がさらに入れば日本株の下支え要因になるとみる。

オルタナティブは増加する見通しで、中長期的な観点から超過収益の獲得を目的に銘柄の入れ替えを進めていく。貸付金は減少する見通しで、流動性の観点から選別していく。不動産は横ばいの見通し。

清友氏はリスクシナリオとして、米国経済のハードランディングやインフレ再加速に伴うスタグフレーションを挙げる。リスク回避の動きとなりやすいものの、スタグフレーションとなれば米金利は上昇し株価は下落するため、中長期的な流れとなるか警戒が必要だとの見方を示した。

24年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.60―1.10%(年度末0.90%)

米10年債利回り    3.00─5.00%(同3.70%)

日経平均        34000─46000円(同43000円)

米ダウ         33000─46000ドル(同41000ドル)

ドル/円        135―160円(同145円)

ユーロ/円       145―170円(同155円)

(坂口茉莉子 編集:田中志保)

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