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訂正:焦点:アジアの富裕層、パリ攻撃で仏渡航敬遠 観光産業に動揺

11月18日、パリ同時多発攻撃やエールフランス機への爆破予告などの影響で、世界の観光産業に動揺が走っている。アジアの富裕層には、欧州への旅行を考え直そうとする動きもあるようだ。パリのルーブル美術館で16日撮影(2015年 ロイター/Benoit Tessier)
[18日 ロイター] - パリ同時多発攻撃やエールフランス機への爆破予告などの影響で、世界の観光産業に動揺が走っている。アジアの富裕層には、欧州への旅行を考え直そうとする動きもあるようだ。
旅行会社(訂正)がパッケージ旅行をキャンセルしたほか、パリ事件で神経質になった観光客が旅行を延期したり行き先を変更するなどで予約がさらに落ち込むのではないかとの見方もある。
旅先で多くのお金を落としていく中国人旅行客の中には、パリへの渡航を避けてドイツなど欧州の他の都市を選ぶ人々も出てきた。先週パリ旅行中だった一部の中国人は、すぐに行き先をスイスに変更したという。
中信旅遊集団(北京)のある社員は、フランス関連の業務は不振が続くだろうと予想する。「地震などの自然災害とは違い、テロ攻撃による人々の不安は尾を引く。少なくとも3カ月は続くだろう」と話した。
世界でも観光客の多いフランス。駐仏中国大使によると、今年の中国人旅行者は前年比1.7%増の200万人以上が見込まれていた。日本では、フランスは12番目に人気のある旅行先だ。
観光業は同国の国内総生産(GDP)の7%以上を占め、観光客は昨年パリだけで3220万人に上った。旅行客の不安がクリスマス時期まで長引けば、仏経済にはさらなる下方圧力となるだろう。
上海で不動産仲介業をしているビッキー・ツェン氏(27)は「それでもパリには行きたい。ただ、こんな事件があっては、あと1年は行かないだろう」と話す。会社員のリー・マオキン氏(29)は「パリはロマンチックな街というイメージだったが、治安の問題が無視されていたのではないか。もし自分が旅行するなら、この事件で考えを変えたかもしれない」と言う。
<深刻な懸念>
パリへの定期便を運航しているアジアの航空会社では、韓国のアシアナ航空<020560.KS>がパリ便のセキュリティーチェックを厳しくした。台湾のエバー航空<2618.TW>は13日の同時攻撃後にキャンセルが相次いだといい、シニアバイスプレジデントのK.W. Nieh氏によると「15日だけで300件の予約のうち50件がキャンセルになった。パリ便は通常満席だったが、事件以来、搭乗率は70―80%に落ちている」と言う。
中国国際航空(エアチャイナ)<601111.SS>やシンガポール航空
豪ツアーオペレーター協会(CATO)のデニス・バニック会長は、顧客は欧州旅行に対し明らかに神経質になっていると指摘。「人々は、テロ攻撃はどこでも起こり得るということを実感した。その時が来たら、残念ながら巻き添えにならないよう逃げることは不可能なのだ」と述べた。
ただ、こうも話した。「こういった事件が発生すると、人々は予約を延期する。だが、旅行そのものを思いとどまらせることはできない」
(Swati Pandey記者、Faith Hung記者、Donny Kwok記者、安藤律子記者、Aradhana Aravindan記者、Joyce Lee記者、Anne Marie Roantree記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)
*本文2段落目の「旅行会社2社」を「旅行会社」に訂正します。