コラム

時価総額45億ドルのMagic Leapが拓くミックス・リアリティの世界 スマホは不要になるのか?

2016年04月25日(月)15時06分

 Magic Leapだけではなく、Google、Facebook、Microsoft、ソニー、サムスン、HTCなどが、メガネ型の人工現実デバイスを開発しているし、Appleでさえ開発中だという噂がある。これだけの企業が競って研究開発するのだから、人工現実の技術は今後、もの凄いスピードで進化することだろう。

 しかし一般ユーザーが使いたいと思うレベルにまでに、あと2、3年で技術が進歩するのだろうか。僕自身、幾つかのメガネ型ウエアラブルデバイスを昨年、装着して試してみたが、それほど衝撃を受けなかった。Magic Leapは、これまでのどのデバイスよりもイメージがきれいに映るのだという話だが、まだ実際に体験していないので何とも言えない。

 ただ気になるのが、パソコンのディスプレイをやめて、ミックス・リアリティ・メガネで代用しようという動きが出始めたことだ。

 Magic Leapの開発チームは近く、パソコンのディスプレイを廃棄する計画だという。ミックス・リアリティ・ベンチャーのMeta社も、100人の従業員のパソコンディスプレイを1年以内に廃棄処分にし、MRメガネに移行する計画だという。パソコンのディスプレイ以上に、ミックス・リアリティ・メガネが見やすいとでもいうのだろうか。

 本当にパソコン画面より見やすいのであれば、これからパソコン、スマートフォンがどんどんなくなっていくことだろう。確かにそれはパラダイムシフトと呼んでもいいような変化だ。今年後半から来年にかけて、各社の人工現実メガネが出揃うことになるだろう。どの程度一般消費者に受け入れられるものなのか。注意深く見守っていきたいと思う。


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プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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