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マクロンとルペンの決戦につきまとうプーチンとウクライナ戦争の影
混戦模様
このようにウクライナ戦争は、マクロンにとって思わぬ神風となったが、国旗効果は時間とともに薄れる。ウクライナ戦争が収束の方向に向かえば、国民の危機感も和らぐだろう。
一方でマクロンが外交にかまけ、国民生活の問題を後回しにしているように見えることに対する一部国民の不満や批判も高まっている。そうした反マクロン感情は当然ルペンへの支持に向かう。
しかも、そもそもナショナリズム対グローバリズムという問題設定に関心を持たない有権者も多い。国民の最大の関心事は、購買力の向上であり、経済や生活に関わる身近な問題だ。そこに目を向けたキャンペーンを繰り広げるルペンへの共感が静かに広がっている。
また、他の重要争点の影が薄くなっていく中で、有権者の選挙離れも懸念される。棄権・白票・無効票は、前回選挙(第2回投票)では1600万にも上った。今回は、第1回投票の投票率が低下した(前回77.8%→今回73.8%)ことに鑑み、さらにこれが増えるのではないかと予想される。
もしそうなれば、それは現職不利に働くのが常であり、結果としてルペン有利に働く可能性が高い。これまでもルペンは、欧州議会選挙など投票率の低い選挙でハイスコアを記録し、国内第一党の地位を獲得してきた。
亡霊の復活?
このような混戦模様の選挙戦の結果について世論調査の示すところ(決選投票における得票率の予想)は、マクロンが54% ~ 51% 、ルペンが46%~49%である(4月11日付フィガロ紙)。
この予想の通りマクロンが勝ったとしても、両者の差は僅差となる。その差が縮まれば縮まるほど、2期目のマクロンの政治的指導力は弱まらざるを得ない。内政面での主導権だけでなく、ウクライナ問題を含めた外交面での指導力にも影響を及ぼすだろう。
逆にルペンが勝った場合、それはフランスにおけるナショナリズムの亡霊がいよいよ生き返ったことを意味するだけでなく、ヨーロッパにおける排他的ナショナリズムの跳梁跋扈を増長させることになるに違いない。ウクライナ問題では、ルペンのフランス外交がロシア寄りの仲介に乗り出すという日が来るのかもしれない。
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