イタリア事情斜め読み
激動のイタリア2020年ダイジェスト、医療崩壊から最新ワクチン接種状況2021年まで
| 現在のイタリアのコロナウイルスの最新現状
イタリアのコロナウイルス5月26日速報:3,937件の新規症例と121人が死亡。陽性率は1.5%(昨日1.3%)で、260,962本のPCR検査。新規感染数が4桁の地域は6日間連続ない。入院と集中治療の数は常に減少中。シチリア (+20) とラツィオ (+18) で、多く犠牲者が出た。https://t.co/Hh7vWqen9i
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) May 26, 2021
イタリアのコロナウイルス5月26日速報:3,937件の新規症例と121人が死亡。陽性率は1.5%(昨日1.3%)で、260,962本のPCR検査。新規感染数が4桁の地域は6日間連続ない。入院と集中治療の数は常に減少中。シチリア (+20) とラツィオ (+18) で、多く犠牲者が出た。
| ワクチンの接種状況
イタリアのワクチンの状況:Covid-19パンデミックに対するワクチン接種キャンペーンは予防接種計画の第1段階に医療従事者と居住者を優先して12月27日に開始。イタリアでは欧州医薬品庁によって承認されたファイザー/ BioNTech、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンのワクチンを接種する pic.twitter.com/kGQngU1KF8
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Covid-19パンデミックに対するワクチン接種キャンペーンは予防接種計画の第1段階に医療従事者と居住者を優先して12月27日に開始。イタリアでは欧州医薬品庁によって承認されたファイザー/ BioNTech、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンのワクチンを接種している。
イタリアでのコロナワクチン接種状況:今日までに全地方行政区画(20州)でワクチンが配達済みが35.695.017回分、投与が実行された総投与量32.038.006回、投与接種率は89.8%https://t.co/cT8LwWbcbT
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今日までに全地方行政区画(20州)でワクチンが配達済みが35.695.017回分、投与が実行された総投与量32.038.006回、投与接種率は89.8%
【詳細】
80歳以上:6.953.265
基礎疾患を有する者と介護者:6.832.872
医療従事者:3.450.645
医療施設で雇用されリスクのある仕事に従事する非医療従事者:1.005.095
高齢者施設等の従事者:97.627
70 - 79 歳:4.697.604
60 - 69 歳:3.775.668
学校職員と学校関係者:1.654.896
防衛およびセキュリティセクター:521.647
その他:2.448.687
イタリア最大人口(約1000万人)を擁する州、ロンバルディア州の状況は、
ロンバルディア州に届いたワクチン総投与量
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供給された数:5.673.350
実際に投与された数:5.507.744(97.1%)無駄にするようなワクチンはない。 pic.twitter.com/ugXNPZ3AiF
| 世界各国のワクチン接種状況
「Our World in Data」の集計に基づくワクチン接種状況を世界で一位の国とイタリアと日本の3カ国の集計で比較してみた。
イタリア国立衛生研究所による研究では、コロナウイルス感染症入院者数は90%低下し、コロナウイルスよる死亡者も90%低下したという。
最新の政府報告によると、イタリアでは抗コロナウイルスワクチンの初回投与を受けていない70歳以上のイタリア人が200万人以上いるとのことで、このうち、50万人以上が80歳以上である。
| 2回目の接種を「延長」するという戦略にイタリアは従うのか?
最近は、イタリアでは投与間隔はどのくらい延長できるのかという点で議論がされている。
英国では、バイアルの限られた供給に対処するために、2回目接種のタイミングを延長した場合の影響をテストする研究が開始された。
投与が3週間から11〜12週間遅れたワクチン接種を受けた人々のカバレッジに関する興味深いデータはたくさん出てきた。
80歳以上の被験者では、12週間後に2回目の投与を行うと抗体反応が3倍以上になるという。
イタリアを始め、ヨーロッパ近隣諸国では、2回目の接種時期(間隔)については慎重かつ段階的に行いながらワクチン接種を迅速に進めている。
イタリアは、それぞれのメーカーの推奨する接種間隔を順守し、1回目の接種から、ファイザーは3週間後、モデルナは4週間後、アストラゼネカは4週間後に接種することを推奨している。
これまでワクチンを接種した約3,360万人のうち、ファイザーかモデルナを接種した人が95%。
ちなみに、アストラゼネカを2回目に接種した人はいない。
Q:手術などの健康への取り組みに関連する個人的なニーズに基づいて、"2回目のワクチン接種時期を延期することはできるのか?
A:イタリアでは前々から手術をする予約があったなど、特別なイベントが予定されてあった場合などは、医師に2回目の接種時期は日程変更を依頼することができる。
原則、期限を守るように努めなければならない。
兎にも角にも、個人レベルに関わる接種日程変更をせざるを得ないという問題よりも、とりわけコミュニティや社会システム次第に問題がある場合の方が大である。
Q:1回目のワクチン接種を行った場所と2回目の接種場所を変えても差し支えがないか?
A:重要なことは市民を追跡して管理する最適なシステムがしっかりと機能しているということが前提であるのだし、接種会場が拡大され、居住地からアクセスの良い近接する会場を選べるという選択肢ができるということは良い。
ワクチン接種キャンペーンへを促進するための大きな戦略の一部にもなっているのである。
Q:メッセンジャーRNAワクチンとウイルスベクターワクチンを混合することはできるのか?
A:たとえば、ジャーナルネイチャーでは、組み合わせの利点を実証するために、600人の治験、臨床試験が進行中である。
最初のワクチンはファイザー、2番目のワクチン接種については、モデルナと混合ができ、メッセンジャーRNAワクチンとアストラゼネカやJ&Jなどのウイルスベクターワクチンも混合する所謂「ミックスワクチン」については、混合しても全く差し支えがないと主張している。
※ただし、このミックスを推奨するのに十分な要素はまだない。
次々に新たな変異株が世界中で出現していく中、グローバルヘルスサミットでは、パンデミックの脅威のリスクについて、将来的にみてもコロナウイルスの蔓延は惑星的なものであり、パンデミックは常に他の場所に移動するもので、私たちはそれを無視することはできない。
旅行者のグローバル化を考えると、集団免疫についてはそれぞれの国の政策と対応次第であるというわけではなく、アプローチは普遍的でなければならず、世界中どこにでも、そして、いつまでもコロナウイルスに感染する危険にさらされる事を科学者たちは強調していた。
世界保健機関(WHO)は、先進国に新型コロナワクチン供給枠組み「Covax」への参加を要請している。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)、国際麻薬統制委員会(INCB)の3者は昨年8月14日、鎮静剤や鎮痛剤等の指定薬物のサプライチェーン確保を各国政府に求める共同声明を発表した。
そこで、イタリアはどのような位置づけにあるのかと考えた。
イタリアは医薬品生産の面で優れた国である。技術革新への投資、そして、最も不利な立場にある人々や貧しい人々を支援する努力が必要であると思う。
| 6月14日からのホワイトゾーンになるラツィオ州(州都、首都 ローマ)
Covid病棟では、1,323人の患者が治療中であり、集中治療は減少した。約3万件のPCR検査のうち、471件が新規陽性。11人が死亡。PCRの検査数と陽性社の比率は1.6%。
エピデミックの強さを測定するパラメータは減少し続けている。症例の発生率は住民10万人あたり50人未満であり、現在のラツィオは実効再生産数Rtは0.64。ラツィオは昨日の入院数が最も多かった地域だった。
健康評議員のアレッシオ・ダマートは、リスクのレベルが「低」に低下したことを発表し、同時に予防接種を受けた人が人口の40%以上に達した時点を想起している。毎日の新規感染者数が平均して400件以内である必要がある。
ホワイトゾーンなれば、オープンな場所での活動と夜間外出禁止令(門限なし)で、最も制限の少ないゾーンに入ることができる。
| 週末のナイトライフエリアへの警戒が強まるローマ
警察によるコントロールは、ピグネトの歩行者エリアだけでなく、トライデントのエリア全体で増加した。
警察本部の命令により、マドンナデイモンティ広場、トリルッサ広場の階段、カンポデフィオーリのジョルダーノブルーノの像も閉鎖。
地下鉄駅SpagnaおよびFlaminio駅を閉鎖した。
| イタリアでマスクを着用する義務はいつなくなるのか?
イタリアでは、現時点、安全な再開のためのプロトコルを扱っている技術科学委員会(CTS)の優先事項の1つではないため、マスクの着用義務がなくなるというような特定の日はまだ未定。
5月21日、イタリア(G20議長国)及びEUの共催による「グローバル・ヘルス・ サミット」がオンライン形式で開催された。
グローバル・ヘルス・サミットで、スチールカメラの撮影エリア内で写真撮影の際、カメラマンがイタリアのドラギ首相とウルズラ・フォンデア・ライエン欧州委員会委員長に「マスクを下げてお顔を見せてください」と依頼した所、二人はマスクを下げ写真撮影に応えた。
"もうまもなく、マスクを着用しなくても良くなるような社会がくる"というパフォーマンスの意味でもあったように思う。
イタリアでは2020年10月7日に政府の法令により、孤立した場所やスポーツ活動中を除き、現在でもマスクは屋内・屋外を問わず着用をする義務がある。
7月下旬から始まる毎年恒例のバカンスシーズンに備え、いろいろな感染拡大予防措置が緩和されることを想像する時、まず、夏の暑い時期に口と鼻を覆うマスクをしたいとは誰も思わない。暑苦しく、息苦しいマスクはできれば付けたくないものである。
ワクチン接種がEU諸国より少なくとも1か月早く開始されたイスラエルと米国を見てみると、イスラエルの保健省は、感染率が下がっているとして、屋外でのマスク着用義務を5月18日から撤廃した。
アメリカでは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年5月13日、ガイドラインを更新しワクチン接種2回(J&Jの場合は1回のみ)のワクチン接種を受けた人々人は、屋内外でマスクを着用する必要がないと発表したが、アメリカ運輸保安庁による公共交通機関でのマスク着用義務は、9月13日まで継続される。
今後、ワクチンの接種が進むにつれてマスク着用の義務化を解除する州が相次ぐことだろう。
英国ではまだ改正されていないが、漸進的なマスク着用義務を廃止する方向に向かっている。
| マスクの着用義務廃止は、条件付きでならば良いのか
条件として、イタリアの人口からの割合でいうと3500万から4000万人のイタリア在住の全国民が少なくとも1回はワクチン接種を接種していなければならないという。
目標では1日あたり約50万回の注射の割合で進めば夏の間に達成できる予定であるので、マスクの着用義務の廃止には、少なくとも"3500万人が1回はワクチン接種を終える"という最低条件をクリアーする必要がある。
研究者たちが言うには、「ワクチンの接種を完了した人はウイルス量は少なくなり、コロナウイルスへの感染はほとんど起こらないが、感染する確率がゼロではなく、ウイルスへの感染リスクは排除されない」と述べている。
Comitato Tecnico Scientifico (CTS)技術科学委員会のウイルス学者であり、製薬会社Aifaの社長であるジョルジョ・パルー氏によると、
70歳以上の78%、80歳以上の89%、90歳以上の92%が、ワクチンを接種しており、80歳と90歳は両方の2回目の接種をほぼすべて終えている。60歳から69歳の60代グループが一番遅れているとのこと。
ウイルスへの感染と重症化や致命的な結果になるリスクに著しくさらされており、後者は2.8%のケースで発生しているとも言っている。
イタリアのほぼ全土を再開、果たして正しい軌道に乗っているのか?また、仮にワクチンの在庫が手元にない国でパンデミックが広がり続けているとした時、イタリアはこのまま安全でいられるのだろうか?
すべての疫学的パラメーターを考慮したイタリアのデータは、非常に有望であるとパルー氏は言う。
| イタリアの病院の状況
イタリアでは、地域病院の病床占有率は22%、臨界閾値である30%を下回っている。
ちょうど1ヶ月前の4月27日は、12の地域で30%の限界しきいを超えたままであったし、集中治療室も35%という状態であった。
医療分野は、40%のしきい値を超えてはいけない。重症患者数が病床数を上回る状態が続くと医療崩壊を招く。
著者プロフィール
- ヴィズマーラ恵子
イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie