ドイツの街角から
乗客に最も優しい欧州の鉄道駅 2位はウィーン、1位は?
この調査の最高得点は133点で、ライプツィヒ中央駅は116点を獲得した。毎日約12万人の旅行者や観光客が訪れ、ドイツ鉄道の長距離駅の中で13番目に利用者の多い駅だ。23本のホーム線路のうち、22本が旅客輸送に使用されている。
大きな特徴は、欧州最大の頭端式(とうたんしき)プラットフォームを有する駅という点だ。頭端式とは、線路が行き止まりになり、到着列車は逆向きに発車する構造の駅で、欧州ではよく目にする。ドイツに限って言えば、5位のフランクフルト・アム・マイン中央駅とミュンヘン中央駅も頭端式が用いられている。
そして国内では最も多くの目的地にアクセスでき、駅ビル型商業スペースには店舗やレストランも充実している。地下1階から地上2階に展開する店舗は、ファッション、化粧品、書籍、生活雑貨やスーパーなど約140店が軒を連ねているので、長時間滞在しても全く飽きることはない。
またドイツでは閉店法という法律があるため、通常日曜日や祝日は閉店せねばならないが、構内の店舗は例外。午後だけ開いている店も多数あるので、お土産や買い忘れた生活用品を入手するのに便利。24時間営業や無休のコンビニがないドイツでは、旅人だけでなく一般市民もよく利用する大変ありがたいサービスだ。
さらにこの中央駅には複数の鉄道会社が乗り入れており、利便性も突出した人気の秘密だ。ただ一つだけ難点をあげると、中央駅からライプツィヒ空港まで電車で出向いても、そこから海外への直行便がない点だった。
1915年に開業されたライプツィヒ中央駅は、100年以上の歴史を有する大変重厚な造り。駅舎正面の横幅は約300メートル、構内の天井の高さは27メートルという巨大サイズ。床面積は83,640平方メートルで、東京ドームの2倍近くある。しかしCCCは「駅の大きさは、必ずしも利便性やインフラの充実を意味するものではない 」と解説する。
© PK Fotografie. ライプツィヒ中央駅全景
ちなみにドイツの主要鉄道駅でトップ20に入ったのは、12位デュッセルドルフ、ハノーバー、シュトゥットガルト、14位ハンブルク、15位ニュルンベルク、16位ドルトムント、19位エッセン、ブレーメンだった。
長引くコロナ禍で各国の対応は様々だが、現在ドイツでは駅構内の店舗は予約制で入店、あるいは商品を事前注文して指定時間にピックアップ、または飲食店ではテイクアウトを提供する店が多い。
次回の訪独で、今回紹介した鉄道駅を利用する機会があるかもしれない。時間があれば構内を散策して快適な時間を過ごし、現地でしか体感できない駅の思い出も持ち帰ってほしい。
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko