パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです
パリの露店クレープのストック保管場所がマンホールだった衝撃!
パリは来年のオリンピックに向けての準備が数年前から進められ、オリンピックまで1年を切った今、その準備は急ピッチで加速されているようです。メトロやバスなどの公共交通機関の駅の工事や、車両にも新車が増えたり、道路整備のための工事がやたらと多かったり、警備体制を強化したりとあちこちに変化が見られ、オリンピックのために?パリはここ数年でずいぶん変わったような気もしていました。
パンデミックの真っ只中には、観光客の足もパッタリと途絶えたパリでしたが、今では、すっかり元通りか、それ以上と思われるほどの観光客が戻り、活気を取り戻しています。ふだんは観光地と呼ばれる場所にはあまり行かないのですが、久しぶりに、足を運んでみると、「あれ?いつの間に、こんなにきれいになったんだ!」、「これは、インスタスポットそのものではないか?」というような場所まで用意されていて、驚かされることも多くなりました。
マンホールは露天商の冷蔵庫
そんな、オリンピックの準備の一環として、街の整備とともに警備体制も強化される中、観光客目当ての露天商(その多くが無許可営業)にもメスが入り、その露店のクレープ屋さんの生地の保管場所がマンホールであったことが発覚し、衝撃を呼んでいます。あらためて、考えてみれば、パリには、あたりまえのように無数の露天商が存在し、まさに観光客目当てそのもののエッフェル塔の小物などの置物などから、今からの季節だと焼き栗(夏にはとうもろこし)、ゴーフル、パンケーキ、そしてパリといえば、クレープなどの食料品も多く存在します。
露天商の多くは無許可営業のために、警察の取り締まりがやってくると、すぐにそのまま風呂敷包みのように商品をくるんで逃げられるように、下に大ぶりの布地をひいてあったり、ショッピングカートの上に火鉢?のようなものをのせていたりと、怪しいことこのうえありません。ましてや食料品の場合などは、すぐに逃げるためには、その場にたくさんの在庫を抱えていることは不可能でもあり、どこか保管場所が必用となるわけです。
パリでの観光名所のトップに挙げられるひとつであるエッフェル塔近辺には、この手の露天商が恐らくパリ中で一番多く存在する場所でもあり、今回の摘発でもシャン・ド・マルス公園(エッフェル塔近辺)あたりでの露天商の摘発が行われ、露天商の中でも特に今回クローズアップされたのは、食料品に関するもので、露天商のクレープの生地がマンホールを保管場所としていたことが発覚し、衝撃を生んでいます。
そもそも美しい街並みとはうらはらに、フランス人の衛生観念には、驚かされることも多く、パンデミックの際に、なぜ、あんなにヨーロッパで感染が拡大し、深刻な被害を生んでしまったのかを考えた時に、日常の生活習慣の衛生観念の欠如にあらためて気が付き、「そりゃそうだわ・・」と思ったものでした。
パンデミックの直後は、メトロの駅や車内なども、びっくりするほどきれいに消毒されたり、時間ごとに手すりや改札を拭いているのを見かけたりして、これがずっと続けばいいのに・・と思いましたが、それも一時のことに終わってしまいました。
しかし、今回のマンホールクレープはそれとは、また別次元の問題で、ちょっと、いつもいつも想像の上をいってくれる・・そんな感じがありました。
パリの地下はマンホールだけでなく、ふつうの人が目にすることのない地下道が存在し、複雑に入り組んでいるのですが、それは下水道も含めて、ネズミなどの害虫の大運動会の会場ともいうべく場所でもあり、パリとネズミは切ってもきれない間柄で、一般の店舗や企業などでも旧建築であればあるほど、ネズミ駆除問題には、何かしらの手立てを講じなければならないのです。しかも、その巣窟とも思われるマンホールの中、そんな場所に食料品を保存するという感覚が全く理解できないことです。
露天商のクレープの多くは、冷凍の冷凍の生地を使用していることが多いとのことで、今回、マンホールで回収されたのは、冷凍のクレープ生地だったようです。この警察の露天商の摘発に伴うマンホール内の捜索が行われ、1回の警察の介入でおよそ30キロの商品(食料品)を回収、廃棄しているとのことで、たまたま一軒のクレープ屋さんだけの話ではないようで、9月のある1週間では、マンホールから水380本、ワイン50本、ビール200本、とうもろこし90本を押収したと報告されています。
エッフェル塔のあるパリ7区の市長はこの容認できない状況を深刻に受け止め、定期的に警察が検問を続けることを発表しています。
このマンホールクレープについて、「バニラシュガーやチョコレートクリームなどは、マンホールの匂いを隠すためのものだった・・」とかいう野次が飛び交ったり、可愛らしいネズミがエッフェル塔の前でクレープを食べる画像が飛び交ったりしていますが、ちょっと笑えない話でもあります。
パリ市は、この露店の食品に関して、観光客に対しても充分な注意を呼び掛けるとしていますが、今回、特に話題にあがったものは、エッフェル塔近辺ではありましたが、私は、パリの他の場所でもマンホールから大量の水のペットボトルを運び出す若者を見かけたことがあり、マンホールの食料貯蔵庫化問題はエッフェル塔に限ったことではないと思われます。実際に、お隣のパリ8区では、この夏に露天商から押収した商品は10トンにも及び、その約3分の1が食料であったと発表しています。
街をきれいに整備したり、駅を改装したり、新車を増やしたりとあらゆる手立てを整えても、結局、人々の衛生観念は変わらないのだな・・とも思ってしまいます。
クレープ片手にパリの街を歩く・・など、「エミリー・イン・パリ」を思わせる多くの女の子が憧れる図であるとも思われますが、思わぬ落とし穴が存在することも忘れずに、特に食料品は正規のお店で購入されることをお勧めします。
著者プロフィール
- RIKAママ
フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。
ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」
Twitter:@OoieR