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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

イタリアも秋は美しい紅葉と山の幸

今、黄葉が美しいペルージャの菩提樹並木 2021/10/29. photo: Naoko Ishii

 紅葉狩りという言葉こそありませんが、イタリアでも野山や庭園、町の並木の黄葉や紅葉が美しい季節になりました。最近では、日本風の鮮やかに赤いもみじも、イタリアの街路樹や庭園で見かけるようになりましたが、今、ペルージャや出かけた先の町を歩いて、その美しさに打たれるのは、何と言っても菩提樹の黄葉です。ハートの形をした金色の葉が日の光に輝き、また、道や公園に敷きつめる落ち葉のじゅうたんも美しく、うっとりしながら、黄葉の中を歩いて、通勤しています。

 この季節は、イタリア各地の山や自然公園での木々の紅葉もみごとで、「秋の色(colori d'autunno)を楽しみに、ぜひ当地を訪れて歩きませんか」という誘いのメールやポスターも、あちこちで見かけます。

 アッシジの聖フランチェスコが聖痕を受けた聖地、トスカーナ州アレッツォ県にあるラヴェルナを取り囲むカゼンティーノ森林国立公園は、中でもとりわけ紅葉が美しいことで知られています。

 夏にはブナの緑が美しい森林では、秋になると、まずは自生の秋咲きのシクラメンが咲き始め、先駆けて紅葉が始まるカエデは、葉が黄色くなる木もあれば、赤くなる木もあり、時には木のてっぺんから赤、オレンジ、黄色、そして緑色へと虹色になっている木を見かけることもあります。やがてはラヴェルナ修道院境内のツタも赤くなり、森林のブナの黄葉が美しい季節が訪れます。

 秋は、こうした自然の美しさを求めて山を訪ねる人がいる一方、ラヴェルナ近くの森でも、またオルヴィエートの崖下のトレッキングコースでも、栗拾いが目的で訪ねる人、そして、野山にキノコ狩りに出かける人も少なくありません。

 義弟もそうしたキノコ狩り愛好者の一人で、例年秋には、とっておきの秘密の場所で見つけたセイヨウタマゴタケや、ポルチーニなど、おいしいキノコを収穫して、わたしたちにも分けてくれます。おかげで、秋の味覚を楽しむことができるのですが、イタリアでは今も、毎年大勢の人が有毒キノコで食中毒となり、死者が出ていて、1998年から2017年の間に、キノコによる食中毒を患った人が15,864人いて、うち12,813人が病院で治療を受け、うち40人が死亡し、33人は命は取りとめたものの、重篤で不可逆性の腎不全を患っているとのことです。

 残念ながら、今年は我が家のオリーブは不作なのですが、ウンブリア州でも多くの農家や一般家庭で、オリーブ園のオリーブの収穫が始まり、今日は夫が購入してきた新オリーブオイルを、今年初めて味見しました。

 秋はこんなふうに、イタリアでもまた、紅葉が美しく、実りの秋、食欲の秋でもあり、楽しみの多い季節です。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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