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平野美紀|オーストラリア

登山閉鎖後のウルルでできる6つのとっておき体験

オーストラリアを代表する世界遺産のひとつ「ウルル」。(2024/8/7 筆者撮影)

2019年10月26日に登山道が閉鎖され、登ることが完全に禁止となった世界遺産ウルル。1990 年代から、地元の先住民たちが「登らないで!」と声をあげ続け、ようやくこの日を迎えたと言える。

日本人観光客に非常に人気があり、旅行のハイライトとも言えたウルル登山。
禁止となった後のウルルはどうなっているのだろう?
登る以外に楽しめることはあるのだろうか?

禁止から半年も経たない2020年3月から2022年2月(全ての制限が撤廃されたのは7月)まで、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックにより、オーストラリアが国境を閉鎖してしまい、海外からの旅行者が来豪できない状態にあったことから、気になっている人もいるのではないかと思う。

ウルルの登山問題

長年に渡り、議論の的となっていたウルル登山について、まずは、簡単におさらいしておきたい。

禁止するか否かが長きに渡って検討されてきていたものの、完全な禁止に至らなかったのには訳がある。

先住民の人たちは、一方的に拒否してしまうのではなく、聖地としてのウルルの重要性を説くことで、訪問者=観光客が(先住民の人々が)登ってほしくない理由を理解し、訪問者自らウルルに登らないことを選択して欲しいとの思いから、完全禁止にはせずに各自の良心に任せていたのだ。

ウルル登山が完全禁止となってから1年後のインタビュー動画。昔から先住民の人たちが「登らないで」と訴えてきたことや永久閉鎖される当日の様子も映っている。(SBS News)

私自身も、こうした先住民の人々の思いを尊重し、2004年から執筆していたコラムなどを通じて、観光客としてやってくる日本の人たちに向け、「ウルルに登る」という行為について、考え直して欲しいと伝え続けた。しかし、広く人々の心に届けるのは難しく、登山をウルル観光のメインイベントとしてやってくる人たちに影響を与えることは、ほぼできなかったと思う...

そして、とても残念なことに、2019年に完全に禁止となることがニュースで伝えられた2017年には、駆け込み登山をする者が相次いだ。

※ウルル登山と禁止に関するこうした経緯については、以下の記事に詳しく書いているので、興味のある人は読んでみてください。
▼2019年に、ウルル(エアーズロック)登山禁止へ!

登山禁止後のウルルでできること

数年ぶりに行ってみると、登山口前に立てられていた「We don't climb, please don't climb Uluru(私たちは(ウルルに)登りません。どうか、ウルルに登らないでください)」と、数ヶ国語で書かれた大きな看板は無くなっていた。また、登るルートに沿って取り付けられていた鎖も全て撤去されていた。

そして、その代わりに登山口となっていた場所に、以下のような2つのサインが立っていた。

PERMANENT CLOSURE 26 OCTOBER 2019(2019年10月26日 永久に閉鎖)
NO ENTRY PENALTIES APPLY(立ち入り禁止 罰則が適用されます)

もともと「We don't climb, please don't climb Uluru」の看板が立てられていた場所は、登山口となっていた所のすぐ前で、登ろうとする人なら必ず目にする場所だ。大きな看板が撤去された跡地は、やけに広々としており、ウルルのなだらかな赤い岩肌と青空のコントラストが鮮やかで、こんなにも眺めの良い場所だったのだなぁと思ったほどだ。

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「We don't climb, please don't climb Uluru」の看板に代わって立てられていた2つサイン。(2024/8/7 筆者撮影)

【ウルルでできるとっておきの体験 6選】

1)大自然を満喫できるベース・ウォーク

登山口となっていた場所は、ウルルの周囲をぐるりと一周できる「ベース・ウォーク」と呼ばれるウォーキングコース上にあり、世界中からやってきた観光客がウォーキングを楽しんでいる。コース上には、数千年前に描かれた壁画や一年中枯れない泉など、見どころも多い。

2)鳥好きにおすすめ!バードウォッチング

バードウォッチングに興味があるなら、「クニヤ・ウォーク Kuniya Walk」と呼ばれるウルルの懐に入っていくように作られたコースを歩いてみて欲しい。クニヤ・ウォークはいつ行っても、さまざまな鳥を一番多く見かける、ウルル随一のバードウォッチング・スポットだ。その他にもいくつものバードウォッチング・スポットがある。

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国立公園が作成しているトレイル・マップには、写真やビデオの撮影が禁止されている場所も掲載されている。日本語版もあるので、必ずもらって確認しておきたい。撮影したものは、基本的に個人使用(私的な範囲)でのみ可であることにも留意。こちらからダウンロードすることも可能だ。

3)先住民文化を学べるカルチュラル・センター

ベース・ウォークからさほど離れていない場所には、「カルチュラル・センター」という、このエリアの先住民文化と自然について学ぶことができる文化センターがある。以前からあったが、展示内容がさらに充実し、隣接されているアボリジナル・アートギャラリーと共に見逃せないスポットのひとつとなっている。

4)手頃なアボリジナル・アートが見つかるアートギャラリー

アートギャラリーでは、先住民アーティストが実際に描いているところを見学できたりするだけでなく、販売されているアートの中には掘り出し物もあって、手頃なアボリジナル・アートを探すにはもってこいの場所。お気に入りを見つけて、お土産に買って帰りたいところだ。

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左上:クニヤ・ウォークのスタート地点。左下:この地域の動物を現地の先住民の言葉と共に説明する看板。右上:カルチュラル・センターへのサイン。右下:様々なワイルドフラワーが咲き、ウォーキングコースに彩りを添える(2024/8/7 筆者撮影)

5)大自然の中でピクニックランチ

カルチュラル・センターには、カフェやショップもある。休憩はもちろん、ここでランチを購入して、ピクニックがてらにゆっくりとベース・ウォークを歩いてみるのもおすすめだ。ウルルの麓に広がる大自然の中のピクニックは旅の最高の思い出になるはず。

6)無料のガイドツアーとプレゼンテーション

ベース・ウォークの一部であるマラ・ウォーク(登山口だったところから出発する短いコース)では、国立公園のレンジャーによるガイド・ウォーク、また、カルチュラル・センターでは、先住民が使用してきた道具やブッシュタッカー(野の食べ物)などのプレゼンテーションなども行われており、誰でも無料で参加できる。

登らなくても、素晴らしい自然と文化を十分に楽しめるウルル。登れなくなったから・・・などと言わず、ぜひ一度、いや何度でも訪れてみて欲しい。この場所は、繰り返し訪れる価値がある「聖なる地」なのだから。〈了〉

ご注意)当記事で使用している写真は、公式に許可を取り、撮影したものです。

ウルル-カタジュタ国立公園 Uluru-Kata Tjuta National Park

I respectfully acknowledge and honour the Aboriginal people of the Northern Territory and recognise the continuation of culture, connection to lands, water and country. I pay my respects to Elders past, present and future.

Special thanks to:Tourism Northern Territory, Uluru-Kata Tjuta National Park

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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