プーチンの後退は欧州の勝利にあらず
PUTIN’S SETBACKS ARE COLD COMFORT FOR EUROPE
いうなれば欧州にとって、トランプの頭の中にある「平和」とは、全く平和と呼べるものではないのだ。欧州は引き続き安全保障と内部の結束に対する深刻なリスクに直面するが、今後はそれらに単独で立ち向かうことになる。不確実性に包まれた欧州では、たとえ経済成長率の低迷や新たな貿易戦争の状況下で支出がより難しくなったとしても、再軍備や安全保障への多額の投資を追求する以外に選択肢はない。
東欧や中東の緊迫した紛争地帯との間に海が横たわり、数千キロに及ぶ距離があるなら、「アメリカ第一」というスローガンを押し出すのも簡単だ。だが欧州には、そんな贅沢な環境は全くない。現状を甘受したくても、その口実さえ見つからない。
ヨシュカ・フィッシャー
JOSCHKA FISCHER
左翼活動家から政治家に転身。ドイツ緑の党の中心人物として、ヘッセン州環境・エネルギー相などを歴任した後、シュレーダー政権では連邦外務大臣兼副首相を務めた。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら