ハリケーン「ヘリーン」が奪った店と夢...再建支える友情は「アメリカ人の美徳そのもの」
Hope Amid the Wreckage
水が引いて店に行けるようになったのは数日後。町の至る所で電柱が倒れ、家々の屋根には倒木がかぶさっていた。絡み合った電線が道路を覆い、どこもかしこも停電していた。悲惨な被害状況には暗たんたる気持ちになる。断水している地域も多く、トイレを流すためにバケツで川の水をくんでいる人々もいる。信じられない光景だ。
それでも前向きであろうと私は努めている。命は助かったし、自宅もペットも無事だったのだから。
とはいえ、店のオープン費用の19万ドルの借金をはじめ、日常の買い物や光熱費で限度額いっぱいまで使ったクレジットカードの引き落としに加え、直前には車が壊れて買い替えていたため、その支払いも私たちの肩にのしかかっている。収入の道が断たれたというのに。
人生の新たな章が始まる
だが、アメリカ人の美徳そのものの精神で、友人たちが私たちを支援してくれている。
友人の1人は店の再建資金のためにクラウドファンディングを立ち上げてくれた。既に当初の目標額の18万ドルを上回る額が集まっている。当座の費用を賄えるようにと、送金アプリを通して支援してくれた人たちもいる。これまで経験したことのない温かく手厚い支援に、人間っていいものだと思えるようになった。
店を始めるときに設計を手伝ってくれた知人2人は、当面は仕事を休んで被災者を支援するという。移動式シャワーの設置や被害に遭った店の片付けのほか、道路が寸断されて孤立した人々に空から物資を届けている。