最新記事
日本社会

日本の男性若年層の手取り年収は、過去30年で50万円近くも減っている

2024年10月16日(水)14時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
収入格差

20~30代世帯の所得中央値は90年代から増えているが、可処分所得を見ると逆に減っている photoAC

<25~34歳の若年男性の手取り収入の中央値は、税負担等の増大から今や全国ほとんどの地域で300万円に満たない>

物価高による生活苦が広がっている。奢侈品はともかく、食費や光熱費の値上がりは辛い。主食のコメに加え、肉・魚・卵といったタンパク質の供給源の値段も上がっている。

昨年の2月、日経新聞WEBに「日本人のタンパク質摂取量、1950年代並みに悪化」という記事が出ていたが、今ではもっと悪くなっているだろう。1日2食、いや1食と、食費を削り過ぎ、栄養失調で倒れる人も出ている。電気代が高いからと、酷暑(極寒)のなかエアコンをつけられないのは命にかかわる。

給与も並行して上がっているなら、ここまで状況は悪くなっていないはずだ。結婚・出産期の若年層に注目すると、世帯主が20~30代の世帯の所得中央値は、1996年では485万円だったのが2022年では515万円と増えてはいる。だがこれは税引き前のもので、可処分所得(所得から所得税、住民税、社会保険料等を引いたもので、手取り収入に相当)にすると、中央値は順に413万円、368万円となっている。

これらの数字を<表1>に整理すると、どういう事態が起きているかが分かる。

newsweekjp20241016045930-cd5b4dc303c7c55cc8620d5c9dc6eabb9e589d57.png


1996年から2022年にかけて、収入の実額は増えているものの、手取りの収入は50万円近くも減っている。

原因は、税負担が大きくなっているためだ。表の右端は、税金や社会保険料等に持っていかれている割合だが、1996年では14.8%だったのが、2022年では28.5%にまで上がっている。今の若年層は、稼ぎの3割弱を税金等で持っていかれていることになる。

少なくなった手取り収入で、値上がりした生活必需品を、重い消費税を上乗せして買わないといけない。若年世帯は借家住まいが大半だが、昔よりも高くなった家賃の負担ものしかかる。さらに、学生時代に借りた奨学金も返さないといけない。結婚どころではない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国PPI、3月は3年半ぶりプラス転換 中東紛争で

ワールド

ベネズエラ議会、鉱業法案可決 海外からの投資に開放

ワールド

インタビュー:原油供給不安、中ロ連携で対日情報工作

ビジネス

アングル:ホルムズ封鎖で米国産石油の需要急増、精製
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 8
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中