最新記事
日本社会

日本の男性若年層の手取り年収は、過去30年で50万円近くも減っている

2024年10月16日(水)14時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

若者の「手取り年収」の都道府県地図を、昔と今で比べてみると、ぞっとするような模様になる。1992年の25~34歳男性有業者の年収中央値は376万円(総務省『就業構造基本調査』)。90年代では税金等で持っていかれる割合は14.8%だったので<表1>、この分を引いた手取り年収にすると320万円。同じやり方で、2022年の手取り年収の中央値を出すと277万円。現在では、結婚期の男性の手取り年収中央値は300万円に届かない。

手取り年収の中央値が300万円に満たない県に色をつけた地図にすると、<図1>のようになる。左は1992年、右は2022年のものだ。

newsweekjp20241016050052-76921261011c0bad166a730511356c00ac2bb74b.png


色付きの県は1992年では19県だったが、現在では東京・神奈川・愛知を除く全県が染まってしまっている。若者のワーキングプア化の進行が一目瞭然だ。「失われた30年」の可視化と言っていい。未婚化・少子化が進むわけだ。

こういう変化が起きている原因として、増税の影響が大きい。高齢化が進む中、やむを得ない面もあるが、税金が適切な用途に使われているのか、疑問に思うこともしばしばだ。物価高が止まらないので、全世帯に食券を配ろうという案が出たが、それなら最初から(重税を)取らないほうがいい。「配らなくていいから取るな」は、今やSNS上の俗語となっている。

過去最高となっている税収の内訳を見ても、増えているのは消費税だけで、所得税や法人税は減っている。今では、逆累進の消費税の比重が最も高い。税金には「再分配」の機能が期待されることを思うと、こうした構造の是正も求められる。奢侈品を除く食品については、消費税を軽減(撤廃)すべきだ。

重くなり過ぎている負担を除く――これが国民の暮らしを楽にする政策の基本スタンスだ。人生のイベントアワーにいる、若年層の多くが望んでいることでもある。

<資料:厚労省『国民生活基礎調査』
    総務省『就業構造基本調査』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

円滑な食品輸出は重要、状況注視=中国の通関遅延報道

ワールド

トランプ氏、住宅対策でMBS2000億ドル相当購入

ワールド

キーウにロシアの無人機攻撃、少なくとも2人死亡 火

ビジネス

中国CPI、12月は約3年ぶり高い伸び PPIは下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中