最新記事
中東

「イランは無防備」「50年に1度の大チャンス」...中東大戦へのカウントダウンが始まったのか?

The Real Tests Are to Come

2024年10月9日(水)13時16分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)
ヒズボラの最高指導者ナスララが暗殺された場所でコーランを読む女性

ヒズボラの最高指導者ナスララが暗殺された場所でコーランを読む女性 AP/AFLO

<イスラエルによるヒズボラ攻撃とイランの報復で負のエスカレーションに覆われた中東。イスラエル、イラン、そして大統領選を控えるアメリカも瀬戸際に立たされている>

イスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲して1年。この間、イスラエルの軍事力は1973年の第4次中東戦争に敗れそうになったときから、さらに弱体化しているように見えた。

あれから半世紀。今のイスラエルはイランとその代理勢力に対し、一気に戦略的優位に立っている。ベンヤミン・ネタニヤフ首相が言うように「今後の中東地域のパワーバランス」を有利に展開させつつある──。


以上が、ここ数カ月のイスラエルによる数々の圧倒的な攻撃について、軍事や安全保障の専門家らが言い立てていることだ。

今年の春以降、イスラエルはイラン革命防衛隊の幹部らを殺害し、イランの首都テヘランではハマスの政治局長を、パレスチナ自治区ガザではハマス軍事部門の司令官を暗殺。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対しては、10月1日に驚くほど手際のいい攻撃を行った。

同じ1日にはイランがイスラエルへの大規模な報復攻撃に踏み切ったが、イスラエルの軍事・技術的な優位が再確認される結果に終わった。

イランは、イスラエルの空軍基地とテルアビブにある情報機関モサドの本部に前例のない大規模な弾道ミサイル攻撃を仕掛けたが、イスラエル側には死者も重傷者も出なかった。迎撃に成功した主な要因は、最先端の多層防空システムにある。

だが軍事的にも外交的にも、本当の試練はこれから訪れるのかもしれない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均2カ月ぶり4万円、日米ハト派織り込みが押し

ワールド

EU、防衛費の共同調達が優先課題=次期議長国ポーラ

ワールド

豪11月失業率は3.9%、予想外の低下で8カ月ぶり

ワールド

北朝鮮メディア、韓国大統領に「国民の怒り高まる」 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社…
  • 6
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 9
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中