最新記事
英王室

バッキンガム宮殿の噴水を「血まみれ」にした活動家が有罪に...英王室を狙う過激抗議の数々とその目的

Buckingham Palace Protesters Found Guilty After Fake Blood Stunt

2024年9月3日(火)11時43分
ジェームズ・クロフォード=スミス
バッキンガム宮殿とイギリス国旗

JC Cuellar-shutterstock

<2021年8月に「動物の権利」を主張してバッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ活動家たちへの判決が3年越しに下された。英王室を標的とした抗議活動は今年も次々に起こっている──>

バッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ、アニマルライツ(動物の権利)を主張する活動家たちが、器物損壊の罪で有罪判決を受けた。これは、2021年に行われた「血に見える赤い液体」を用いた抗議活動の一環だった。

【画像】【動画】バッキンガム宮殿の噴水を「血まみれ」に...動物の権利を叫ぶ活動家の姿

「安全でサステナブルな植物ベースの食料システムへの移行」と、「大規模な再野生化プログラム(リワイルディング:土地や動物への人間の干渉を極力抑えて、もとの自然に近い状態に戻す試み)」を求める団体「アニマル・ライジング」のメンバー5人が8月28日、ロンドンのサザーク刑事法院に出廷し、有罪判決を受けた。5人の量刑判断は年内に行われることになる。

2021年8月26日、クリストファー・ベネット、ルイス・マッケンジー、ライリー・イングス、クレア・スミス、レイチェル・スティールの5人は、バッキンガム宮殿の外にある有名なビクトリア女王記念碑をとりまく噴水に、環境に優しい赤い染料を投入した。

これは、当時の女王エリザベス2世を担当する複数の弁護士が、スコットランドの大臣たちに法案を変更するようロビー活動を行った、との報道を受けたものだった。

弁護士たちは、この法案に含まれていた二酸化炭素排出量削減を目的とする環境イニシアチブについて、女王の私有地を適用外とするよう求めたと報じられた。

アニマル・ライジングのメンバーは噴水の周りの石を赤い染料で汚し、「動物農業──王室の大虐殺」と書かれたプラカードを掲げた。

同団体はプレスリリースで、自分たちの抗議行動は「われわれ一般人が生存可能な未来に向けて戦っている中で、英王室が狩猟や競馬、毛皮の取引、法律の適用免除を推進している現状にスポットライトを当てるのに一役買った」と述べている。

23歳のマッケンジーは、判決を受けるまで3年もの間待たされたことに不満を表明した。

「今日の判決は理想的なものではないが、予想した通りだった」とマッケンジーは述べた。「この国の司法制度(ジャスティス・システム)は、本当の意味での正義(ジャスティス)に基づいて作られてはいない。現状維持の意図のもとで作られている」

「あの抗議活動から3年が過ぎたということ自体が私にとっては信じ難い。その間、われわれは摂氏40度の酷暑を体験したが、我が国の政府からは明確な行動はない。プラントベースの食料システムを実現するまで、われわれには前進し続ける以外の選択肢はない。現状は、私たちの世代や後に続く世代への裏切りになるだろう」

英王室が抗議デモに直面したケースはこれが初めてではない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中