最新記事
安全保障

EUとウクライナが安保協定に署名...首脳会議

2024年6月28日(金)10時10分
ゼレンスキー大統領 EU首脳会議

欧州連合(EU)およびEU加盟国のリトアニアとエストニアは27日にブリュッセルで開かれた首脳会議で、ウクライナのゼレンスキー大統領(中央)と安全保障協定に署名した。(2024年 ロイター/OLIVIER HOSLET)

欧州連合(EU)およびEU加盟国のリトアニアとエストニアは27日から2日間の日程でブリュッセルで開かれた首脳会議で、ウクライナのゼレンスキー大統領と安全保障協定に署名した。首脳会議では今後5年間のEUの戦略的方針を定めるほか、EU主要機関の人事を決定する。


 

ロイターが入手した草案によると、EUとウクライナの協定では、武器の供給、軍事訓練、防衛産業での協力、地雷除去など安保・防衛政策における9つの分野でウクライナを支援するというEUのコミットメントが定められている。

また、ウクライナはロシアに併合された領土を取り戻さなければならないこと、ロシアの勝利はあり得ないことなどを強調。必要な限りウクライナを支援するとの確約を改めて表明することが示された。

さらに首脳会議では、主要7カ国(G7)が制裁で凍結されたロシア資産から生じる利子を活用してウクライナに提供する計画の500億ドルの融資について、詳細をまとめるよう主要機関に要請する見込み。

今回の安保協定は、リトアニアおよびエストニアと締結した協定とともに、ロシアの侵攻に対する防衛を続ける中でウクライナとその同盟国との間で締結された他の同様の協定を補完することが目的という。

米英仏独などがウクライナと同様の協定を締結している。

当局者によると、今回の協定は北大西洋条約機構(NATO)加盟国間の相互防衛協定と同じものではないが、ウクライナの安全保障を強化し、将来的な侵攻を抑止するために、ウクライナに武器やその他の支援を提供することを確約しているという。

EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は「われわれは防衛への投資が不足しており、失った時間を取り戻さなければならない」と指摘。「防衛力を強化するために大規模な財政支援をしなければならない。これは容易なことではない」とした。

ゼレンスキー大統領は首脳会議で、ロシアが今春、ウクライナ北東部ハリコフ州で攻勢を強めたことはロシアに対するこれまでの国際的圧力が不十分であることを示していると訴えた。

また、ポーランドのトゥスク首相はXへの投稿で、7月9日にワシントンで開催されるNATO首脳会議に先立ち、ワルシャワでゼレンスキー大統領と会談すると明かした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、12月にも利下げ余地 段階的な緩和必要=キ

ワールド

イスラエルとヒズボラ、激しい応戦継続 米の停戦交渉

ワールド

ロシア、中距離弾道ミサイル発射と米当局者 ウクライ

ワールド

南ア中銀、0.25%利下げ決定 世界経済厳しく見通
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中