最新記事
インド

【モディ首相・独占インタビュー】「世界3位の経済大国になりたい」...インドはなぜ「自信満々」なのか?

“I AM ALWAYS IN THE MOMENT”

2024年5月22日(水)15時25分
ダニシュ・マンズール・バット(アジア地域編集ディレクター)

インドは過去10年間で世界最大の貧困撲滅運動を展開し、2億5000万人を貧困から救った。この数字以上の人口を抱える国は世界に4つしかない。最近のある研究によれば、インドは極貧を消滅させている。

経済成長の結果、前例のない福祉制度を実施することができた。これらの制度により、貧困層に4000万世帯の住宅、1億世帯分以上のクリーンエネルギー、約1億1000万世帯分の清潔な水とトイレ設備をもたらした。5億人が無償で医療を受けられるようになり、最後に残る1万8000の村落に電気が通った。

■差別されているという宗教的少数派の不満について

インドで少数派が差別されているなどという話は、もう当の少数派でさえ信じない。インドではイスラム教徒、キリスト教徒、仏教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒、あるいはパールシー(インドのゾロアスター教徒)のような超少数派でさえ幸福に暮らし繁栄している。

枠組みとイニシアチブについて、私の政権はインドで初めて独自の大々的なキャンペーンを考案した。住宅、トイレ、水道などの設備や、料理用燃料、無担保融資、医療保険などが、コミュニティーや宗教に関係なく国民に行き渡っている。

■女性の地位について

女性はインドの発展の最前線にいる。私たちは「女性の発展」ではなく、「女性主導の発展」と言うように改めた。

議会では、下院と州議会の議席の3分の1を女性に割り当てる画期的な法案を可決した。今回の総選挙では女性の登録有権者が15%増えた。

妊産婦死亡率は14年の出生10万例当たり130から20年は97に低下し、女性の栄養状態も大幅に改善した。各種の出産手当法は世界でも先進的で、26週の完全有給の出産休暇を与え、従業員数50人以上の事業所に託児所の設置を義務付けている。

女性は軍隊を含む全セクターに進出している。政府は貧しい女性のために2億8500万の銀行口座を開設し、起業を志す3億人の女性に無担保融資を実施してきた。農村部の大勢の女性も画期的なプロジェクトの恩恵を受けている。

農業用ドローンの操縦法を学ぶ「ナモ・ドローン・ディディ」や、3000万人の女性が自助グループに参加して年間1世帯当たり最低10万ルピー(約18万5000円)の収入を得られるようにする「ラクパティ・ディディ」などだ。インドの航空パイロットに占める女性の比率は約15%と世界最高だ。

これらの先進的な対策により、女性の就労率は17年の23%から、昨年はコロナ禍だったが37%に上昇した。

トイレや生理用ナプキンの話をしたインド首相は私が初めてだ。昨年の独立記念日の演説で私は女性と女性の選択を尊重していると言った。インドでも世界でも女性の安全確保のためにやるべきことはまだある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

黒海でロシアのタンカーに無人機攻撃、ウクライナは関

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中