最新記事
インド

【モディ首相・独占インタビュー】「世界3位の経済大国になりたい」...インドはなぜ「自信満々」なのか?

“I AM ALWAYS IN THE MOMENT”

2024年5月22日(水)15時25分
ダニシュ・マンズール・バット(アジア地域編集ディレクター)

インフラを整備することと気候変動への取り組みを強めることの間に矛盾はない。インドはインフラを強化しながら気候変動緩和の最前線に立つ方法について、信頼できるモデルを提供している。

ソーラーシステムによって1000万世帯に明かりをともす、太陽光発電ポンプで農家を支援する、エネルギー効率の高い電球を4億個配布するなどの施策だ。

14年以降は、再生可能エネルギーへの投資を大幅に拡大した。太陽光発電の容量は14年には2820メガワットだったが、現在は7万2000メガワットを超えている。再生可能エネルギーの発電容量を30年までに500ギガワットに引き上げ、2015年のパリ協定の目標達成に向けても着々と進んでいる。

さらに70億ドル近くをかけて100都市に1万台の電動バスを導入することで、環境に配慮した都市モビリティーに大きな弾みをつけ、騒音と大気汚染を緩和する。

インドの1人当たりの温室効果ガス排出量は今も世界平均の半分以下だが、発表したとおり70年までに排出量の「ネットゼロ(温室効果ガスの純排出ゼロ)」を達成する。

■中国との競争について

サプライチェーンの多様化を目指す企業がインドに注目するのは、当然のことだ。私たちは大胆な経済改革に取り組んできた。物品サービス税の改革、法人税の引き下げ、破産法の制定、労働法の改革、外国直接投資の基準の緩和などだ。

その結果、インドでは大幅にビジネスがやりやすくなった。規制の枠組みや税制、インフラをグローバルスタンダードと同等にしようと努力している。

■電子決済システム「UPI」の発展について

UPIの成功から3つの重要な教訓を引き出せると思う。第1にテクノロジーはオープンで相互運用が可能であり、拡張性があって安全でなくてはならないこと。第2に、テクノロジーの民主化が必要であること。第3に、人々のテクノロジーへの適応力を信頼すべきだということだ。

UPIは、インドの誇るイノベーション力が生んだ素晴らしい例だ。金銭的なものから地理的なものまで、無数の障壁を超えたツールだと思う。

■経済成長を持続し、配分するという課題について

現在、インドの年齢中央値は28歳と若い。この「人口の配当」を活用し、47年までにインドに先進国の仲間入りをさせると約束する。

インドの新興企業の驚異的な成長は、はっきり目に見える。14年に100社程度だったスタートアップが、今は12万5000社を超える。「スキリング」「リスキリング」「アップスキリング」を繰り返し、一方で雇用を創出していくことで、わが国の若者は今後数十年をリードできる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送(18日配信記事)-パナソニック、アノードフリ

ワールド

米・イスラエル、ガザ巡る国連職員の中立性に疑義 幹

ビジネス

米アメックスがプラチナカード刷新で3500ドル追加

ビジネス

午前の日経平均は続伸、ハイテク株主導で最高値 一巡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中