スキーを愛するからこそ「脱炭素」に真剣に向き合う、アスリート・渡部暁斗
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「エコパートナー」と名付け、共に環境問題と向き合う企業を募る
渡部さんは2022-23年シーズンからエコパートナーと名付けた協賛先を募集。環境への負荷を抑えたサステナブルなシューズを作っているアメリカの企業と想いが一致し、エコパートナーに迎えました。その広告料は、地元の長野県で「J-クレジット」の購入に充てられ、森林整備のために使われています。J-クレジットとは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による二酸化炭素などの排出削減量、また適切な森林管理による二酸化炭素などの吸収量を、「クレジット」として国が認証したものを指します。
「通常、スポンサーからの広告料は契約アスリートの競技や生活のサポートに使われますが、エコパートナーからの広告料はすべて、地球温暖化の防止対策に充てられます。そのため、エコパートナー募集時に設定した広告料は、僕が排出している70トンの二酸化炭素をカーボン・オフセットできる金額にしました。ただ、カーボン・オフセットはお金で解決している部分があり、本質的な課題解決にはなりません。ですから、エコパートナーのロゴをヘッドギアに付けることでそれが環境に配慮している企業であることの周知につなげ、企業の製品購入者が増えることで環境保全につなげたい、と考えています」
渡部さんはさらに多くの人に環境への関心を持ってもらい、人々の行動変容を促すため、他にもさまざまな活動に力を入れています。
「SNSでの情報発信はもちろん、積極的にメディアへの露出を図ったり、環境問題に関するイベントや講演に参加したりと、自分の声を届ける機会を貪欲に増やしています。2023年の夏も『信州環境フェア2023 Action for ゼロカーボンフォーラム』というイベントに参加して、温室効果ガス排出量実質ゼロに挑む自分の体験をお話しさせていただきました」
努力のかいがあって、波及効果は少しずつですが見えてきました。周囲のアスリートからの反応が寄せられ、親交のある現役プロスキーヤーからは「地元にJ-クレジットがあったのでアクションを起こそうと思っている」といった、具体的な声が聞かれるようになりました。環境団体からも「一緒にアクションができないか」と声をかけられる機会が増えたそうです。
「2022-23年シーズンにエコパートナー契約を結んでくれた企業が、次のシーズンも継続してくださることになりました。自分の取り組みを認めていただき、資金を出す価値があると思っていただけたことはとてもうれしいです。そのぶん、『自分が競技でいい成績を収めて話題になるようにもっと頑張らないと』と、身の引き締まる想いです」