中国のレアメタル規制は不発に終わる...ロシアの禁輸に学ぶ5つの教訓
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中国の脅しは欧米諸国での精製インフラ開発を加速させ、中国の支配的地位を失わせる可能性がある。中国以外の国に新たな精製施設を建設するには理想的なタイミングだ。世界的なグリーン転換により、2020年代には重要原材料の需要が4~6倍になると予想されている。そもそもボリビアやブラジル、コンゴ民主共和国、ギニア、インドネシアなどの生産国が鉱石採掘場の近くに精製施設を建設すれば、自国産品の価値を飛躍的に向上させられる。
欧米の民主主義陣営が、途上国の経済における中国の影響力に立ち向かうチャンスともなる。EUや日本、アメリカは資源国に対して寛大な融資をし、各国の事情に合わせた契約を結び、必要なら精製加工の技術を提供すればいい。
教訓4 危機は同盟国間の協力を促す
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は天然ガスの輸出停止でEU全体の緊張と分裂をあおり、欧州諸国をアメリカから引き離そうとした。だが、この作戦は裏目に出た。
欧州各国は供給をめぐって争う代わりに天然ガスの共通購入メカニズムを構築し、アメリカその他の国からのLNG輸入を増やした。
同様に、中国が重要原材料の輸出を止めれば、同じ立場の国々の協力に弾みがつくことだろう。既にその兆しは表れており、欧米諸国は重要原材料の供給を確保するための協力について話し合っている。協力をさらに深める措置として、EUは重要原材料の「バイヤーズ・クラブ」の設立を提案している。
もちろん、同盟国間の協力が全て順調にいくとは限らない。採掘・精製施設を運営するのは民間企業だ。オーストラリアやカナダ、南アフリカ、イギリスの企業はアフリカにおける鉱山探査費用の約80%を担っている。これらの企業は、最も収益性の高いプロジェクトをめぐって今も競争を繰り広げている。
公的な協力は鉱物資源のマッピング、採掘基準の作成、重要原材料のリサイクル方法の研究など、採算性の低い活動に対して行われる可能性が高い。
国際エネルギー機関(IEA)は今年9月に、重要原材料に関する第1回サミットを開催する予定だ。これはIEAがこの問題の取り組みの先頭に立つチャンスになるだろう。
教訓5 資源供給国としての信頼を失うのは中国にとって損失
天然ガスの供給を止めたロシア政府の判断の、おそらく最も長期的で想定外の副作用は信頼の低下だろう。今後長年にわたり、ロシアはエネルギー供給国としての失われた信頼を取り戻すのに苦労する。