最新記事
ジェンダー

教育は「1位→47位」、ジェンダー後退国・日本で出版された希望になるかもしれない本

2023年7月31日(月)20時15分
飯田千鶴
日本人女性

写真はイメージです monzenmachi-iStock.

<ジェンダー・ギャップ指数が公表され、日本は過去最低の125位とニュースになった。分野別に見ていくと分かる日本の課題、そして今春に出版された文庫本が伝えてくれるものは>

衝撃か。納得か。あなたはこの数字をどう受け止めるだろうか。

 
 
 
 
 

スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が2023年6月に公表した「ジェンダー・ギャップ指数」のことである。男女平等を100%としたときの日本の男女格差は64.7%で、146カ国中125位だった。2022年の116位から後退し、過去最低を更新した。

1位は14年連続でアイスランド。ノルウェー、フィンランド、ニュージランド、スウェーデンと続く。主要7カ国(G7)の中で日本の指数は最も低いという言葉を何度も聞いたかもしれないが、東アジアと太平洋諸国の中でも日本は最も低い。

ジェンダー・ギャップ指数が公表されると、さまざまなメディアが「男女平等、日本は過去最低125位」(朝日新聞6月21日配信)などと報じた。

その5日後、栃木県で開かれたG7男女共同参画・女性活躍担当相会合で、各国が女性閣僚を送り出す中、ホスト国として議長を務めた小倉将信・男女共同参画相が真ん中で記念写真に収まる姿は日本の男女格差を象徴する一枚として記憶に残っている。

そう、日本のジェンダー問題はすべてがこうなのだ。そして、指数では示されない男女格差はいまだに根深く残っているというのが女性たちの実感ではないだろうか。

経済分野の男女格差解消に必要な「思い込み」の解消

まず、国会議員の男女比、閣僚の男女比などを扱う政治分野。2023年の女性の国会議員の割合は、衆議院は10人に1人にあたる10.3%、参議院は4人に1人にあたる26.7%だったので、138位(5.7%)には納得してしまう。

4月の統一地方選挙で女性議員がいなかった地方議会で女性が当選するなど格差解消に向けて前進しているが、女性不在の地方議会は200議会を超えるという報道もある。

同一労働における男女の賃金格差や管理職の男女比などをまとめた経済分野は123位(56.1%)と低調のままだった。働く女性は増えているが、その半数以上は非正規雇用で、職務上の意思決定ができる立場にいる人は少ない。

「M字カーブ」と呼ばれた結婚や妊娠・出産により女性の就業率が一度下がってその後また上がる問題は解消されつつあるが、女性の正規雇用比率が20代後半をピークに低下し、30代以降は非正規雇用が中心となる「L字カーブ」は鮮やかに描かれたままだ。

2023年版の「男女共同参画白書」では、女性の8割以上、男性の7~8割が女性に家事・育児が集中していることが職業で女性の活躍が進まない理由と考えていることが示されている。

専業主婦世帯数を共働き世帯数が上回って四半世紀。子どもの生後8週間以内に、最長4週間の育休を2回にわけて取れる「産後パパ育休」(出生時育児休業)がようやく2022年10月から始まった。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中