「もしこの技術が悪用されたら大変なことになる」──チャットGPT開発のアルトマン氏が自ら警告
ChatGPT Creator Is Worried About AI
米議会の公聴会でAIの規制を支持したチャットGPT開発者のサム・アルトマン(5月16日) Elizabeth Frantz-REUTERS
<チャットGTPの生みの親サム・アルトマンをはじめ、米議会で証言したAI の権威たちはAI の暴走を警告>
対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を開発したオープンAI のサム・アルトマンCEOは5月16日、人工知能(AI)の将来について懸念を表明し、意図しない結果が起きる可能性があるため、規制が必要だと警告した。
米議会上院司法委員会で証言したアルトマンは警戒を促す口調で、誤情報の増加、選挙妨害、コンピュータが人間の従業員にとって代わり、人工の存在が人間そのものよりも賢くなる、といった苦境に陥る可能性を秘めた暗い未来像を描き出した。
金融情報サイト「ナードウォレット」によれば、AIに対する懸念はこれまで常に存在してきたが、最近は、アルトマンの会社を含むテック企業が未開拓分野の先取りをめざして何十億ドルもの投資を行っていることから、特にその懸念が深刻化しているという。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、AI分野の基礎研究の第一人者でAIの「ゴッドファーザー」と呼ばれるジェフリー・ヒントンは「悪意のある人間が(AIを)悪いことに使うのを防ぐ」ためにグーグルを退職し、AIの能力について警告している。
チャットGPTを開発したアルトマンも、米議会で証言する初めての機会に、同じような意見を述べた。
「もしこの技術が悪用されたら、かなりまずいことになると思う」と、アルトマンは議員たちに語った。「そのことを声を大にして訴えていきたい。そんなことが起こらないように、政府と協力したい」。
緊急に規制が必要
司法委員会の議長を務めるリチャード・ブルメンタール上院議員は、「人工知能は、その計り知れない将来性と落とし穴に対処するためのルールとセーフガードを緊急に必要としている」と述べた。
民主党のエイミー・クロブシャー上院議員から、今後の選挙にAIが与えるかもしれない影響について、アルトマンは「かなり懸念している」と述べた。
「AIはソーシャルメディアではない。まったく違う」と彼は答えた。「だから、必要とされる対応も違う。AIは、ユーザーがより効率的にコンテンツを生成するために使うツールだ。ユーザーはこのツールを変えることができるし、正確さをテストすることもできる。気に入らなければ、別のバージョンを使うこともできる」
AIについて声をあげているノースウェスタン大学法学部のジョン・マクギニス教授は、本誌の電話取材に対し、テック業界の第一人者たちの懸念を共有することにためらいを感じていると語った。彼は、悪意のある人の手に渡ったツールは問題につながる可能性があるというヒントンの意見に同意したが、AIそのものが暴走して悪意に満ちたものになるとは考えていないようだ。