「昔のソビエト赤軍と変わらない...」さすがに「30万人」は大げさでもロシア軍を侮れない理由
The Coming Fight in the East
こうした新兵は、1年前にウクライナに投入された部隊に比べて装備も劣り、訓練も足りない。だがロシア側は意に介さない。
アメリカの保守系シンクタンク「ランド研究所」のダラ・マシコに言わせれば、彼らは昔のソビエト赤軍と変わらない。ひたすら人海戦術で、どんなに激しい砲火を浴びてもじわじわと前進してくる。
今も新規の動員は続く
ロシア側の物量作戦はウクライナ軍に打撃を与えている。今ではより密集したロシア軍との戦いを強いられる。
かつてのハルキウ(ハリコフ)攻防戦ではウクライナ側の士気が高く、統制も取れていたが、これからの戦いは違うとマシコは警鐘を鳴らす。「向こうは兵員を増やし、地雷を仕掛け、着々と塹壕を掘って決戦に備えている」
ロシア側は来るべき攻勢に向けて装備を拡充し、準備を進めている。ウクライナ軍の推定では、ロシアは既に戦車1800両、装甲車両3950台、重火器2700台、ソ連時代の多連装ロケット発射システム810基、戦闘機400機、ヘリ300機を動員し、新たな波状攻撃に備えているという。
ただし米国防総省は、現時点で戦場に送り込まれているロシア軍は「装備が不十分で訓練不足、そして急ぎすぎ」だと分析している。
一方で欧州諸国には、昨年9月に始まった動員が今も続いているとの見方がある。エストニアのフセビオブも、「動員は終わっていない。国内事情があるから大きな声では言えないだけだ」と述べた。
米シンクタンク「戦争研究所」のカロリナ・ハードも、水面下で徴兵が続いていることを示す情報は山ほどあると言う。「続々と招集されているとの報告があるし、軍隊に引き渡すべき従業員の名簿を受け取った会社もある」
米国防総省は、東部ドンバス地方のバフムートやソレダルでの激戦で被った損失を補うために、ロシアが数万人規模の部隊を補充したとみている。
だがウクライナ側は、それだけではないと考える。侵攻開始から1年の2月24日に向けて、ロシアはさらなる軍隊を送り込んでくるはずだと。
「1年前の比ではないだろう」と、ウクライナ軍の当局者は言った。「戦場でどれだけの死傷者や損失が出ようと、向こうは気にしない」