最新記事
ロシアロシア強硬派、「アラスカ奪還」主張で米ロ間に新たな火種
Russian State TV Revives Effort to Reclaim Alaska From U.S.
1867年にアメリカが購入するまで、アラスカはロシアの領土だった Peter Hermes Furian-Shutterstock
<ロシアがウクライナ侵略で非難されるなら、ロシアからアメリカが「奪った」アラスカも取り戻せ、という論理が浮上>
ロシアはアメリカからアラスカを取り戻すべきだ、とロシアの有識者が国営放送で主張した。
デイリー・ビースト紙のコラムニスト、ジュリア・デイビスが運営するYouTubeチャンネル「ロシアン・メディア・モニター」は2月10日、ロシアの国営ニュースチャンネル「ロシア1」の動画を掲載した。そのなかで、ロシアの中東研究所のエフゲニー・サタノフスキー所長はナポレオン戦争後に欧州で開かれたウィーン会議についてこう語っている。
「ウィーン会議(1814〜15年)はポーランドがロシア帝国に属することを認めた。フィンランドがロシア帝国に属することも認めた。私は(ソ連・東欧社会主義体制の崩壊に道を開いた)1975年のヘルシンキ宣言で確認された国境線ではなく、少なくともウィーン会議当時の国境線に戻るべきだという意見に同意する」
アメリカ議会図書館によると、アメリカがロシアからアラスカを720万ドルで購入したのは1867年だ。
「ロシアとの条約は、ウィリアム・シュワード国務長官とエドゥアール・ド・ストエクル駐米ロシア公使の交渉で締結され、署名された。何の役にも立たない土地を買ったとアラスカ購入を批判する人々は、この売買を『シュワードの愚行』と呼んだ」
ワシントンポストによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2014年に国民との対話で、アメリカからアラスカを取り戻すことはできないかと質問された。プーチンは「なぜアラスカが必要だと思うのか」と聞き返し、ロシア国民はアメリカの州について「騒ぎたてるべきではない」と述べた。
米ロは戦争状態
だがウクライナ戦争が続く中、ロシアとアメリカの緊張は高まり続け、最近ではロシア政府内の強硬派がアラスカ奪還の可能性を口にし始めている。ウクライナ戦争において、アメリカをはじめ欧米諸国がウクライナに防衛のための兵器など軍事支援を続けていることを、ロシアは非難している。
昨年7月、ロシア国家院のビャチェスラフ・ボロージン議長は演説を行い、アメリカの対ロシア制裁への対抗策の一環として、アラスカ奪還を取り上げた。
AP通信によると、ボロージンは「海外でわれわれの資産を収奪しようとするアメリカの議員らは、ロシアにも取り戻すものがあることを認識すべきだ」と述べたという。
また、昨年7月にはシベリアの通信社NGS24が、ロシア連邦中部のクラスノヤルスク市内に「アラスカはわが領土」と訴える看板がいくつか出現したと報じている。
アラスカ州のマイク・ダンリービー知事は、ボロージンの発言に反応し、「アラスカを取り戻せると信じているロシアの政治家たちへ。幸運を祈る」とツイートした。
ロシア国営テレビの番組に出演したウクライナ侵攻を支持する政治評論家ドミトリー・クリコフは、アラスカについて語っただけでなく、ロシアとアメリカは 「1945年以降、戦争状態にある」と述べている。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら