最新記事

インフレ

食品価格が前年比45%アップ 東欧各国、クリスマスの晩餐へ必死の節約 

2022年12月11日(日)11時00分

東欧地域の消費者は、クリスマスに伝統的な食材をテーブルに並べるために最大限の節約を強いられている。写真はブダペストの市場で3日撮影(2022年 ロイター/Marton Monus)

東欧地域の消費者は、クリスマスに伝統的な食材をテーブルに並べるために最大限の節約を強いられている。特にハンガリーやバルト諸国で食品価格が跳ね上がり、その上昇ペースは欧州連合(EU)全体をはるかに上回っているからだ。

EU統計局によると、ハンガリーの10月の食品価格は前年比45.2%上昇。東欧のEU加盟10カ国の上昇率も20%を超える。リトアニアとラトビアはそれぞれ33.3%と30%だった。

一部の国では物価全般はピークを付けた可能性があるものの、食品価格はなお力強く上昇を続けており、生活費をさらに圧迫している。これらの国の中央銀行は、経済が急減速し始めているにもかかわらず、政策金利を高水準に維持せざるを得ない。

複数の専門家の話では、食品価格はエネルギーや肥料の高騰という世界的要因だけでなく、食品産業の低い生産性や輸入依存度の高さ、労働需給ひっ迫に伴う賃金の大幅上昇という東欧固有の事情によって押し上げられている面もある。

ハンガリーの場合、今年は深刻な干ばつのためにトウモロコシや小麦の収穫が激減し、家畜飼料の価格が一気に上昇したばかりか、通貨フォリントの下落で輸入物価も上がるという「弱り目にたたり目」の状況となった。

東部ティサエスラールで国宝に指定されている「マンガリッツァ豚」2000頭余りを飼育しているラヨス・カンデルさん一家にもその影響が及んでいる。この養豚場は従来、トウモロコシと小麦を自家栽培して飼料に回してきたが、今年は干ばつのせいで飼料の購入を余儀なくされた。ところがトウモロコシと秋小麦の価格は、昨年の2倍近かったという。

カンデルさんは「飼料を買わないといけないので来年はとても厳しい局面になる」と語り、電気料金や賃金、獣医の診察代もかさんでいると付け加えた。

例えば養豚場が支払う電気料金を見ると、年末までの契約はキロワット時(KWh)当たり29フォリントだが、その後は同138フォリントに上がる見込み。豚のワクチン接種料金は年間で450万フォリントと3倍に膨らんだ。

カンデルさんは豚の卸値をおよそ20─25%引き上げたとはいえ、これ以上コストが増大しても価格に転嫁するのは難しくなると話す。「業者側がある程度コストを負担して今の状況を乗り切るしかない。本音を言えばキロ当たり2000フォリントにしたい。(しかし)それでは誰も買ってくれない」と打ち明けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の対ロ輸出、1ー2月は19.7%増 貿易総額拡

ビジネス

元メタAI科学者の新興企業、10.3億ドル調達 L

ワールド

訂正-中国の原油輸入、1ー2月は15.8%増 製油

ワールド

「NISA貧乏」巡り、積み立て自体の目的化は意図せ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 6
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中