ロシア経済制裁の効力──企業による「自主制裁」が効いていたという結果
TRADING WITH THE ENEMY
ロシアの「経済要塞化」は失敗
6月上旬、各国の外交、政界、実業界のリーダーが集う「コペンハーゲン民主主義サミット」が、今年も民主主義同盟財団の主催で開かれた。
旗振り役は同財団の会長で、NATO(北大西洋条約機構)前事務総長のアナス・フォー・ラスムセン。民主主義国家間の連携と独裁主義の台頭へ抵抗を促すことを目的とする。
サミットではサムレンの司会で「敵と取引するには」と題したパネルディスカッションが開かれた。
この席でイギリスの多国籍企業セントラルニックのベン・クロフォードCEOは、ロシアのような独裁国家からの突然の撤退には思わぬマイナス面もあり得ると指摘した。セントラルニックは一流の組織や企業のドメイン名を管理している。
ロシアと絶縁すれば「知的財産であるドメイン名がサイバー犯罪者や偽造業者、場合によってはもっと悪質なやからの手に渡るかもしれない」と、クロフォードは述べた。「知的財産を守ることが最大の責務だと、私たちは認識するに至った。ロシアと取引を続けるとしたら、それはもっと重要な目的のためだ」
グーグルでグローバルアフェア担当社長を務めるケント・ウォーカーは本誌に対し、ロシアでのプレゼンスを維持したほうがよい結果を招くというのが社の考えだと語った。
グーグルはロシアで有料サービスを全て停止した。ロシアのユーザーは現在、グーグル・プレイでアプリを購入したりサブスクリプションサービスを利用したりすることはできない。だが購入あるいはダウンロード済みのコンテンツは利用できるし、無料アプリにもアクセスできる。
「事実と真実を明るみに出すことがグーグルの貢献であり、可能な限りその貢献を続けていく」と、ウォーカーは述べた。「わが社は上質な情報源の提供を心掛けており、グーグル検索がフェイクニュースの解毒剤になることを望んでいる」
一方、ディスカッションに参加したドイツ産業連盟(BDI)のウォルフガング・ニーダーマルク理事の見解は異なる。