最新記事

気候変動

ヘンリー王子、国連で気候対策を訴え「お前が言うな」と大顰蹙

Harry and Meghan Slammed for Climate Hypocrisy—Even After Flying Commercial

2022年7月21日(木)19時21分
ジェームズ・クロフォードスミス

マンデラを称える式典の間中、ほとんどずっと手を握り合っていたことも嘲笑のタネに Eduardo Munoz- REUTERS

<常々プライベートジェットで移動しているくせにどの口が!?  夫婦そろって不人気のアメリカで、自由と民主主義の大切さを説いたり、中絶禁止を認める米最高裁の判断に異を唱えるなどして「何様?」と、米世論を敵に回す>

英王室を離脱し、妻のメーカン妃と共にアメリカに移住したヘンリー王子は7月18日、ニューヨークの国連本部での演説のなかで気候変動への対策を求めたが、ジャーナリストらはこれが「偽善」だとして猛反発している。

南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)廃絶に貢献した故ネルソン・マンデラ元大統領の誕生日を記念する「ネルソン・マンデラ国際デー」に合わせた今回の式典に出席するため、ヘンリー王子とメーガン妃は移住先のカリフォルニア州から「商用航空」を利用して移動したとわざわざ公表したが、一部メディアが問題にしたのは、夫妻が常々プライベートジェットで移動していることだ。

ヘンリー王子は父親のチャールズ皇太子、兄のウィリアム王子と共に、以前から気候変動に関心を寄せ、積極的に発言してきた。2019年には持続可能な旅行を提案する非営利団体トラバリストを立ち上げてもいる。

国連で行なった演説では、気候変動が世界中に「大惨事を引き起こしている」と警告。最も弱い人々が最も深刻な影響を受けていると訴え、アフリカの記録的な大干ばつを取り上げてこう述べた。「かの地の干ばつは、世界中で起きている異常気象の一例にすぎない。私がこうした話している間にも、世界はまたもや殺人的な熱波に襲われている」

スクリーンショット 2022-07-21 17.41.18.png

「そもそもどうして彼が選ばれたんだ?」から始まるニュース番組


「厚顔無恥」

「何十年に一度と言われるこうした現象は、もはや毎年のように繰り返されており、異常でも何でもない日常的な現象になりつつある。この危機は悪化する一方だ......各国指導者が立ち上がらない限り。この神聖な場に代表を送り込んだ国々が、社会を変容させる大胆な英断を下さない限り、人類の未来には絶望しかない」

ヘンリー王子のこの演説には一部のコメンテーターが即座にかみついた。プライベートジェットで移動しながら、気候変動について人々に「講釈を垂れる」とは何様か、と。

「よほど厚顔無恥でなければできないことだ」と、英紙サンのコラムで断じたのはメーガン妃批判で鳴らす英ジャーナリストのピアーズ・モーガンだ。「おそろしく燃費が悪いプライベートジェットをタクシー並みに利用しながら、彼が今日やったように国連で演壇に立って、気候変動について講釈を垂れるとは!」

モーガンはまた、ネルソン・マンデラの孫のンデラ・マンデラにインタビューした際に、ヘンリー王子が気候変動について訴えていることをどう思うか聞いたと明かし、ンデラの次のような答えを紹介している。

「(スイスのダボスでは)毎年世界経済フォーラムが開かれ、各国首脳がプライベートジェットに乗って集まってきて、気候変動について話し合うが、いくらきれいごとを並べても、行動を伴わなければ意味がない。ヘンリー王子にしても、各国首脳にしても、お題目を唱えるのはいい加減にして、きちんと責任を果たしてほしい」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

リーブス英財務相、広範な増税示唆 緊縮財政は回避へ

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設

ビジネス

英BP、第3四半期の利益が予想を上回る 潤滑油部門

ビジネス

中国人民銀、公開市場で国債買い入れ再開 昨年12月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中