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事件安倍元首相が演説中に銃撃され死去
共同通信によると、8日午前11時半ごろ、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が不審な男に背後から襲われた。NHKによると安倍元首相は倒れ、血を流しており、銃声のようなものが聞こえたという。安倍氏はその後、救急車で運ばれた。写真は2020年8月、都内で代表撮影(2022年 ロイター)
8日午前11時半ごろ、奈良市で街頭演説をしていた安倍晋三元首相(67)が男に背後から銃撃された。
NHKなど複数のメディアによると、安倍晋三元首相は治療を受けていた奈良県橿原市内の病院で午後5時3分死去した。
NHKによると、安倍氏を襲った男は殺人未遂の疑いで現場で逮捕され、銃も押収された。逮捕されたのは奈良県在住の山上徹也容疑者(41)で、捜査関係者の情報では、押収された銃は手製だった。「安倍元総理大臣に対して不満があり、殺そうと思って狙った」という趣旨の供述をしているという。複数の国内メディアは、山上容疑者が2002年から05年に海上自衛隊に所属していたと伝えている。
安倍氏は10日投開票の参議院選挙の自民党候補者の応援に駆けつけていた。党の奈良県連によると、この日の遊説に安倍氏が登壇することは前日に決定し、夕方以降に告知されたという。
岸田首相は官邸で記者団に「民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な蛮行であり、決して許すことはできない」、「最大限の厳しい言葉で非難する」と語った。
政府は午前11時45分、官邸危機管理センターに官邸対策室を設置。応援演説で各地にいる閣僚に、帰京するよう指示した。
安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は、東京・市ヶ谷にある防衛省の大臣室で一報を聞いたという。岸氏は記者団に「輸血を含めて救命治療に全力を尽くしている」、「ぜひとも回復されるよう祈っている」と語った。容疑者が元海上自衛官との報道については「捜査に協力しているのでコメントは差し控えたい。犯人のバックグラウンドがどうあっても許されることではない」とした。
「シンゾー」、「ドナルド」と呼び合う仲だった米国のトランプ前大統領は「われわれはシンゾーのために祈っている」とソーシャルメディアに投稿した。「彼は私の真の友人、もっと重要なことに、米国の真の友人」と書き込んだ。
金融市場にも影響
銃撃の報道を受けて金融市場は動揺した。外国為替市場は円高に振れ、対ドルでそれまでの136円前半から135.33円まで円が買われた。株式市場は昼休みの時間帯だったが、日経平均先物が上げ幅を縮小。後場が始まると国債先物は下げ幅を拡大した。
東海東京調査センターの金利・為替シニアストラテジスト、柴田秀樹氏は「安倍元首相は円安・低金利というアベノミクス相場の象徴だ。状況は予断を許さないが、金融緩和の後退といった思惑につながりやすい」との見方を示した。
T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー、浪岡宏氏は、海外投資家にとって「アベノミクス」のキーワードはとても印象的だと指摘。「菅義偉前首相、岸田文雄首相にしても、アベノミクスの影響を受けている部分はある。今回の事件が起きてしまったことで、今後の政治がどうなっていくか、アベノミクス的な視点は継続されるのか、という点が投資家にとって気掛かりだ」と話している。