最新記事

電気自動車

ここまで来たベトナムのEV、アメリカに進出

Vietnamese Automaker VinFast Plants an Electric Foot in the American Market

2022年7月4日(月)12時45分
ジェイク・リンゲマン

ダンはバッテリーの永久保証を打ち出したビンファーストの戦略について、「新顔の企業であることから、他社との差別化を図る必要があるのだろう」と解説する。「また、起亜やフォルクスワーゲン(VW)などのメーカーとの違いを打ち出すために、ドライバーが真っ先に懸念する要素の1つであるバッテリーのリスクをゼロにするプランを提供している。同社が、全世界のバッテリーの90%が生産されている地域に本社を構えており、(バッテリーメーカーと)長きにわたる関係を結んでいるのも良い条件だ」

ビンファストはまた、使用済みバッテリーの再利用やリサイクルを行うプログラムを用意し、環境に有害な廃棄物を出さない仕組みを目指している。フォルクスワーゲンも、ドイツのザルツギッターに開設した新たなバッテリーリサイクル施設で、同様の取り組みを行っている。ウェストブルックによると、「フィックス」(無制限の走行距離)プランを選び、最初に保証金を支払った顧客は、サブスクリプション料金が永久無料になるとのことだ。また、車両が転売された場合は、新たなオーナーにサブスクリプションの権利が引き継がれる。

headquarter.jpg

ビンファストは、フォードと同様、さまざまなサイズのSUVを販売する計画だ。フォードは現在アメリカで、エコスポーツ、エスケープ、エッジ、エクスプローラー、エクスペディションの5車種(並びはサイズ順)を販売している。ビンファストも同じように、VF7、VF8、VF9というモデルを展開する計画だ。

ビンファストVF8のライバルとなるのは、ガソリンエンジン車のエッジと、プラグインハイブリッド車(PHV)のジープ・グランドチェロキー4xe、シボレーから発売が予定されているバッテリー駆動の新型エクイノックスEV、そして、すでに発売されている完全電気駆動のフォード・マスタング・マッハEとみられる。ビンファストのクロスオーバーモデルは、電気モーター2基を搭載し、四輪駆動が可能な仕様となっている。

VF8は、「エコ」グレードの場合、最大出力は348馬力、最大トルクは368ポンド・フィート(約50.8キログラムメートル)とされている。航続距離は、米環境保護局(EPA)基準では260マイル(約418キロ)、これより長い距離になりがちな欧州サイクルでは292マイル(約470キロ)と見込まれている。また、「プラス」グレードでは、402馬力、457ポンド・フィート(63.07キログラム・メートル)にパワーアップし、航続距離は248マイル(約400キロ)ないし277マイル(約446キロ)となる。価格は4万700ドル(約550万円)から設定されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス

ワールド

今年のドイツ成長率予想0.2%に下方修正、回復は緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中