最新記事

サル痘

サル痘の流行は「ウクライナ支援国」のゲイばかりと、ロシア国営TVで嘲笑

Russian State TV Mocks Other Countries Suffering Monkeypox Outbreak

2022年5月27日(金)17時16分
イザベル・バン・ブリューゲン

一方、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンが2月24日にウクライナに侵攻して以来、軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、武器を提供するなどの軍事面でウクライナを支援している。当然ながら、感染が確認された国々すべてが、ウクライナに軍事支援を行なっている国と合致するわけではない。

NATOに加盟しているのは、欧州28カ国とアメリカ、カナダの計30か国だ。米上院は5月19日、400億ドルを超えるウクライナ支援を定めた法案を可決した。これにより、継続中のウクライナ戦争に対するバイデン政権の支援総額はおよそ540億ドルに達する。4月28日時点で、欧州連合(EU)加盟国の多くを含む31カ国が、ロシアによる侵攻を受けたウクライナに軍事支援を行っている。

サル痘の感染がこれまで確認された国々は、オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、イスラエル、アラブ首長国連邦、アルゼンチン、カナダ、アメリカ、オーストラリアだ。

「ロシアでは集団免疫ができている」

ロシア国営テレビの番組でジュラフリョフは、ロシアでは「サル痘の感染者はいない。ただのひとりも」と言い、これを聞いた司会者らは愉快そうに笑い声をあげた。

ロシアの衛生監視当局は5月23日、「ロシアでは、かつて天然痘ワクチンの集団接種が行なわれていた」ため、サル痘に対する集団免疫ができていると述べ、1980年代まで同国で行なわれていた天然痘ワクチンの強制予防接種に言及した。

「かつて天然痘ワクチンの接種が行なわれていたため、サル痘感染による重症化リスクは低減する。すべてのポックスウイルスには高い交差防御力があるからだ」と衛生監視当局は述べている。「ロシアでは集団免疫ができており、サル痘の感染拡大は抑制される」

サル痘は1970年に、コンゴ民主共和国(当時のザイール)に住む子ども1名の感染で初確認された。WHOによるとサル痘ウイルスは、傷口や体液、呼吸器飛沫のほか、寝具などの汚染した物質を介して感染する。潜伏期間は通常6日から13日だが、場合によっては、5日から21日と幅がある。

症状としては、皮膚病変、頭痛、筋肉痛などの体の痛み、発熱、リンパ節膨張、強い倦怠感などがある、とWHOは述べている。とはいえ、新型コロナウイルスのように、一般市民に爆発的に感染が広がるリスクは低いとされている。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中