【核爆弾シミュレーター】それが近くに落ちたら被害はどこまで及ぶか
Nuclear Bomb Blast Map Shows What Would Happen if One Detonated Near You
ロシア主導の軍事同盟「CSTO」の会議でNATO拡大への「報復措置」を強調したプーチン(3月15日)REUTERS/Mikhail Metzel/RIA Novosti/Kremlin
<ロシアのウクライナ侵攻以降、それまでは考えられなかったような核攻撃が現実にありうる世界にわれわれは暮らしている。地球のどこにいてもその重みが実感できるツールを専門家が開発した>
ここ数週間、核戦争の脅威に関する議論が熱を帯び始めた。スウェーデンとフィンランドがNATOへの加盟姿勢を鮮明にしたことに、ロシアが反発強めているためだ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が今後、核兵器の使用に踏み切るかどうかをめぐっては、識者の意見も割れている。大統領の発言を「口先の脅し」だと一蹴する者がいる一方で、プーチンが窮地に追い詰められればリスクは現実のものになる、とする声もある。
実際に核爆弾が爆発した場合、何が起きるのだろうか? 爆発直後の衝撃はどれほどで、放射線が放出されるエリアはどこまで広がるのだろう?
ニュージャージー州ホーボーケンにあるスティーブンス工科大学准教授で、核兵器の歴史研究が専門のアレックス・ウェラーシュタインは、こうした疑問に地図上で答える核爆弾シミュレーター「ニュークマップ(核マップ)」を作成した。
NUKEMAP BY ALEX WELLERSTEIN HTTPS://NUCLEARSECRECY.COM/NUKEMAP/ / MAP DATA © OPENSTREETMAP CONTRIBUTORS, CC-BY-SA, IMAGERY © MAPBOX
ニューヨークの上空で史上最強の核爆弾「ツァーリ・ボンバ」が爆発した場合の被害シミュレーション(スクリーンショット)
このニュークマップは、世界の任意の地点で核爆発が起きた場合の影響を示してくれる。核兵器の威力や、地表(あるいはその近く)と上空のどちらで爆発したか、などの条件別に、爆風の及ぶ範囲を表示する。
予想される死者および負傷者の数、放射性降下物(フォールアウト、死の灰とも)が広がる範囲の大まかな推計、キノコ雲のサイズなどについても推定値が示される。作成者のウェラーシュタインは、シミュレーターに添えた説明文の中で、核兵器の破壊的被害を地図上に簡潔に描くことで、爆発の規模を理解する助けにするのが目的だと記している。
「私たちは、核兵器の話題が新聞の一面に頻繁に登場する世界に生きている。だが、実際に核爆弾が爆発した場合に何が起きるのかについては、非常に不正確なイメージしか持っていない人が大半だ」と、ウェラーシュタインは記す。
「地球上のあらゆるものが一瞬にして破壊されると思う人もいれば、従来型の爆弾とそれほど変わらないと考える人もいる。現実に起きることは、この両者の考えの中間のどこかにある。核兵器は甚大な破壊をもたらし、多くの人命を失わせる可能性があるが、その影響は、人間に把握不可能なほどではない」