最新記事

ジョニー・デップ

デップの元妻は「演技性パーソナリティ障害」と専門家

What Is Histrionic Personality Disorder? Amber Heard Court Diagnosis Explained

2022年4月28日(木)17時15分
トーマス・キカ

元夫のジョニー・デップに名誉毀損で訴えられたアンバー・ハード(4月27日、法廷で) Jonathan Ernst-REUTERS

<注目を浴びようとして嘘をつき悲劇のヒロインを演じる──アンバー・ハードにはそんな異常性が見られると、デップ側弁護団が主張>

ジョニー・デップが元妻アンバー・ハードを名誉毀損で訴えた裁判で、原告側弁護団は4月26日、被告のハードはある種の人格障害の疑いがあると主張した。

デップの弁護団は、デップとハードの結婚生活における虐待の可能性について、カリフォルニア州とハワイ州に拠点を置く臨床・法医学心理学者のシャノン・カリーに分析を依頼し、証人として法廷に呼んだ。

カリーは証人宣誓を行い、裁判書類、医療記録、メンタルヘルスの治療歴、音声・ビデオ記録を調べ、さらに昨年12月10日〜17日に合計12時間にわたってハードと面会し、心理学的評価を行ったと述べた。

「評価結果から2つの診断が考えられる......境界性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害だ」

カリーによれば、「ミネソタ多面人格目録」(MMPI)検査の結果から、ハードは3−6コードタイプと判定される。人にどう見られるかを過剰に気にし、他者を冷酷に扱い、自分の過ちを認めず、外部に責任転嫁する傾向があるということだ。

同タイプの人はまた、「受動的攻撃性(直接的に怒りを表現せず、陰湿なやり方で相手を困らせる)、身勝手、自己中心性、承認と注目を過度に求める」といった傾向があるとも言われている。

異常な承認欲求

カリーが所長を務める多種専門のカウンセリングセンター、「カリー・サイコロジー・グループ」の公式サイトによると、カリーは「研究調査と臨床、さらにトラウマ、暴力、人間関係に関連した心理学的検査で15年の経験を持つ」。

法廷でカリーは、専門医資格は取得していないと述べた。アメリカでは医師免許を取得していれば、専門医資格なしでも専門分野の医療行為を行えるが、ある分野の専門医を名乗るには、それぞれの学会が認定する専門医資格が必要だ。

オハイオ州の権威ある医療研究機関・クリーブランド・クリニックによると、演技性パーソナリティ障害は演劇性パーソナリティ障害の1種で、注目を浴びることへの強烈な欲求を特徴とする。この障害の人は多くの場合、対人スキルに非常に長けていて、他者を巧妙に操り、その欲求を満たそうとするという。

「こうした障害を持つ人は、感情が激しく、情緒不安定で、歪んだ自己イメージを抱いている」と、同クリニックの公式サイトは解説している。「演技性パーソナリティ障害の人は、自分には価値があるという本当の意味での自信を持つことができず、他者の承認に自己評価を依存している。こうした人は自分に目を向けて欲しいという欲求が抑えきれないほど強く、注目を浴びようとして芝居掛かった言動や不適切な言動に走りがちだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物3日続落、米在庫増やガザ停戦期待で

ワールド

ジョージアでデモ隊と警察衝突、「外国の代理人」法案

ビジネス

テスラ、突然の充電器部門閉鎖 自動車業界に動揺

ワールド

米コロンビア大、反イスラエルデモ参加者が建物占拠 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 7

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中