これからは「俺専用」──飛行機すらサブスク時代の「パーソナライズ」とは?
Trying to Stand Out
航空会社の「サブスク」も
「私たちの調査によると、顧客ごとのパーソナライズが上手なブランドは、平均的なブランドに比べて売り上げが40%多い」と、マッキンゼーのホアンは言う。
ロイヤルティープログラムの本質は、消費者が購買行動のデータを差し出す代わりに、特典を受け取るという取引にある。
シュナイダーによれば、消費者はその取引が割に合うものだと感じたい。そのために大きな意味を持つ要素の1つがパーソナライズだ。
例えば、セフォラは「ビューティー・インサイダー」の会員に、愛用ブランドの新製品発売情報を電子メールで知らせている。スターバックスは、「リワード・プログラム」の会員に過去の購入履歴に基づいてさまざまな特典を提供している。
これとは別に、有料のロイヤルティープログラムやサブスクリプション(定額課金)サービスも増加している。
この2月には、アラスカ航空がアメリカの航空会社で初のサブスクリプションサービスを開始した。会員は定額の会費を支払う代わりに、米西部で往復直行便を一定回数利用できる。
この種のプログラムの効果は大きいらしい。マッキンゼーの調査によると、有料のロイヤルティープログラムの会員になった人は、それ以前に比べてブランドに支出する金額が増える確率が60%高い。
一方、無料のロイヤルティープログラムの場合、その確率は30%の上昇にとどまる。
だが、顧客の期待に応えるのは簡単でない。「顧客に金を払わせるためには、その料金を明確に上回る恩恵を提供できなくてはならない」と、ホアンは言う。
例えば、アマゾンの「アマゾン・プライム」の場合、月額14.99ドル(米国内の金額)の会費と引き換えに、膨大な種類の商品の迅速な配送と、娯楽コンテンツのストリーミング配信を行っている。
しかし、小規模な専門業者のサブスクリプションサービスが消費者にアマゾン並みの魅力を提供するのは難しいかもしれない。
顧客ロイヤルティープログラムは、どのように進化するのか。今後は「消費者と共に成長していく」プログラムが当たり前になり、異業種の企業が共同でプログラムを運営するケースも増えるだろうと、ホアンは予測している。
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