西側の制裁逃れるロシアの富裕層 今もトルコやUAEで不動産買いあさる
モスクワとベルリンを拠点とする不動産仲介会社、トラニオのエレナ・ミリシェンコワ氏は「投資家は資本の保護と、UAEに一時的に身を移すための居住ビザ取得の機会の両方を手に入れたがっている」と述べた。同社はロシア人顧客による海外での不動産購入に力を入れている。 同社が今年1─3月に受けた集合住宅への引き合いは前年同期の3倍ほどに急増した。
需要がもっと増えている企業もある。
ドバイのモダン・リビングのカルダス氏は「ウクライナ侵攻が始まった直後、この地域で販売キャンペーンを展開したところ、問い合わせ数が少なくとも通常の10倍に上った」と語り、本当に裕福な買い手はウクライナとの戦争が起きる前から準備を進め、ロシアから資金をシフトしていたようだとの見方を示した。
現金から暗号通貨へ
UAEに拠点を置く不動産会社、ロイヤル・ホーム・リアル・エステートのエレナ・ティムシェンコ氏に話を聞く限り、ドバイに銀行口座を持つロシア人にとって、手続きは比較的容易だ。一方で、友人に頼ったり、助けを求める人もいるが、購入資金を集めるのに苦労する人もいるという。
「ドバイで不動産を買いたいと望むことと、実際に購入するのはまったく別物だ」と、購入資金の調達の難しさを指摘する。
トルコに新たに入国したロシア人の中には、制裁に抵触することを警戒する銀行で、預金や送金に難渋する人もいる。さらにビザやマスターカードなどクレジットカード会社の法令順守やロシアでの決済事情停止が困難に拍車をかけている。
UAEは昨年、不正な資金の流れを阻止するため、銀行に対して疑わしい取引の特定の手続きを厳格化する指針を発表した。しかし、トルコと同様に、国際組織「金融活動作業部会(FATF)」の監視対象国リストへの追加を阻止できなかった。
UAEのある銀行幹部は、銀行の顧客チェック体制は以前と変わらず、中銀から新たな指導は受けていないと説明している。
イスタンブールのババカン氏によると、これまでのところ取引のあるロシア人顧客は、問題なく銀行経由で支払いができていると話した。
イスタンブールの不動産業者、アレックス・チハノグル氏は、制裁によって金融取引がより難しくなった今、一部のロシア人は現金から暗号通貨に換えて決済しており「目にする取引のほとんどは、暗号通貨で行われている」と明かした。
(Ceyda Caglayan記者、 Saeed Azhar記者、Riham Alkousaa記者)
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