最新記事

心理学

自己肯定感の低い人が、今すぐにやめるべきは「ランキング」のしすぎ

2021年12月24日(金)11時21分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
悩む女性イメージ

recep-bg-iStock

<HSP(敏感すぎる人)提唱者が、自尊心が低くなってしまう理由を科学的に解説。10年の歳月をかけて見つけた、セラピストに頼らず自分で取り組むことのできる自己肯定感の育み方とは>

内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自己肯定感が低いという。教育や社会環境の違いなど、さまざまな要因が考えられるだろうが、謙遜が美徳とされる日本で生き抜くための一つの知恵のようになっているかもしれない。

しかし自分自身を過小評価しすぎることは、自尊心の低さにもつながる。人は誰しも心の奥底に、自分には価値がないと思う部分を抱えているものだが、必要以上に自分を低いところに追いやることは、人生の幸福度を一気に下げてしまう。

近年日本でも話題になったHSP(Highly Sensitive Person=とても敏感な人)という気質について提唱した、アメリカの心理学者エイレン・アーロンが高感度(high sensitivity)の研究から見つけたのは、生まれもった性質を意識することによって、自己肯定感は育むことができるということだ。

エイレン自身も、自分を過小評価してしまう人間だったという。「この感情は強烈で、人生の大半をこの問題に悩まされてきたと言っても過言ではない」と話す。

実際に、エイレンがある授業を行ったときのこと。授業のあと、生徒数人がエイレンのもとを訪れ、授業の内容はおもしろかったが、話し方が非常に聞き取りづらかったと伝えられた。彼らは、エイレン自身が自分の話すことに価値がないと思っているみたいだと言ったという。

これをきっかけに、自分を過小評価することについて、何らかの手を打つ必要に迫られたエイレンが行ったことはどんなことか。

自分を愛せるようになる自己肯定感の教科書』(エイレン・N・アーロン著、片桐恵理子訳、CCCメディアハウス)には、自尊心が低い理由が科学的に解明されるだけでなく、エイレン自身が自己評価の低さを癒やし、コントロールした方法が明かされている。

キーワードは、ランキングとリンキング

自尊心を正しく育てるためには、ランキング(Ranking)とリンキング(Linking)がキーワードとなるという。

ランキングとは、「自分の格付け」だ。自分は低いところにいて、高いところを目指すべきであるというもので、現状の、ありのままの自分には価値がないというふうに感じてしまうこと。

私たちが日々行っていることの多くは、他人と自分を比較し、敬意、影響力、権力を得るための努力である。言い換えれば、社会のなかでの自分のランクづけである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハンガリー首相、プーチン氏と会談へ エネ供給とウク

ワールド

米政権、「第三世界諸国」からの移民を恒久的に停止へ

ビジネス

東京海上、クマ侵入による施設の損失・対策費用補償の

ワールド

新興国中銀が金購入拡大、G7による凍結資産活用の動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中