最新記事

米社会

子供へのワクチン計画が進行中だが、30%もの親が「様子見」と判断

MANY PARENTS SHUN VACCINE

2021年11月5日(金)12時41分
アダム・ピョーレ

211109P56_WCN_02.jpg

リモート形式から通学に切り替える学校では接種義務化のケースも BEN HASTYーMEDIA NEWS GROUPーREADING EAGLE/GETTY IMAGES

多くの混乱は、子供へのワクチン接種を支持する医学的な論拠が2つあることから生じているが、いずれの論拠にも、リスクという厄介な問題が含まれている。

1つ目の論拠は、公衆衛生の専門家がしばらく前から唱えているもので、子供にワクチンを接種すれば、ウイルスが社会全体に広がるのを抑制できるという考えだ。子供が新型コロナで重症化または死亡するリスクは大人よりもずっと低いが、感染してウイルスを拡散するリスクは大人と同様にある。だが子供へのワクチン接種に懐疑的な親たちは、他人を守るためにわが子を危険にさらせと言うのかと反発している。

もう1つの論拠は、変異株のデルタ株による感染が拡大するにつれて盛んに言われ始めたもので、若年層の感染リスクは当初考えられていたよりも高いという主張だ。実際、若年層の感染者は急増している。

アメリカの子供の死因で最も多いのは癌(年間約1800人)で、2番目が心臓疾患(約600人)だ。しかし米疾病対策センター(CDC)の推計によると、この2年間に新型コロナで死亡した子供は約570人で、入院を必要とした子供は約2万2000人に上る。

子供の死を防ぎたいかという問いに、親が迷ってすぐに答えられないような状況はおかしい。保護者が納得するまで説明するか、さもなければ接種を義務化する必要がある。

昨年は、ロックダウンや自宅学習などの対策により、子供がウイルスに接触する機会が少なかった。そのため子供は感染しにくく、重症化しにくいという誤った印象が生まれたのかもしれない。

重症化した子を「大勢見た」

だが今年の夏の終わりから初秋にかけて、デルタ株の流行や対面授業の再開をきっかけに、小児科の患者数が急増した。新型コロナの感染が確認されて入院した10代以下の患者数は、8月には主にデルタ株の影響で早くも増加していたが、9月に新学期が始まると新規感染者数は週に25万人以上にまで激増し、昨冬の急増時を上回るレベルに達した。

「2021年になって明確に分かってきたのは、子供の新型コロナを深刻に受け止めなければならないということだ」と言うのは、ヒューストンにあるテキサス小児科病院の病理学主任ジェームズ・バーサロビックだ。同病院では、感染拡大以来、新型コロナの子供の感染者を1400人も受け入れてきた。「ICU(集中治療室)や救急センターに送られてくる子、人工呼吸器を装着した子供を大勢見てきた」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア産原油、インドで割引幅が過去最大に近づく 米

ビジネス

破綻したファースト・ブランズ、北米事業の一部整理開

ワールド

原油先物下落、米では冬の嵐で生産に影響

ビジネス

中国工業部門利益、25年は0.6%増 4年ぶりプラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 6
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 9
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中