最新記事

スポーツ

インドネシア、バド国際大会19年ぶり優勝でも国旗掲揚されぬ屈辱 その理由とは──

2021年10月22日(金)17時50分
大塚智彦
バドミントン「トマスカップ」優勝杯を手にしたインドネシア選手団

優勝杯を手にしたインドネシア選手団だが、その頭上に国旗がたなびくことはなかった── BWF TV - YouTube

<ライバル中国を打ち破り歓声に包まれたコート。しかし表彰台の中央に立つ選手たちの頭上に国旗が翻ることはなかった──>

バドミントンの国際大会「トマスカップ」で10月17日、バドミントン王国のインドネシアが決勝で中国を破って2002年以来19年ぶりの優勝を果たすという快挙を成し遂げ、コロナ禍で沈滞ムードのインドネシア国民は歓喜に沸いた。しかし表彰台の中央に立つ選手たちの頭上にインドネシア国旗が翻ることはなかった。

これは世界反ドーピング機関(WADA)が10月7日にインドネシアとタイ、北朝鮮が規定に違反しているとして下した処分に基づくものだ。

このWADAの処分では地域の競技会や世界選手権を開催できないほか、競技会にインドネシアやタイの選手は参加できるものの、開会式、閉会式の入場行進や表彰式でインドネシアの場合は国旗「メラプティ」の使用が禁じられるため、国際大会である「トマスカップ」に早速それが適用された結果だった。

今夏開催された東京オリンピック/パラリンピックではWADAの処分を受けて制裁中のロシア選手団がロシア国旗の代わりに「ロシア五輪委員会」の名称と旗で参加し、金メダルの表彰式ではロシア国歌の代わりにロシアを代表する作曲家チャイコフスキーのピアノ協奏曲が使用された。

ロシアはWADAの処分に不服を示しスポーツ仲裁裁判所(CAS)による裁定を求めたが最終的にCASも違反を認定したことで処分が確定していた。

WADA処分を受け国民に謝罪

WADAは今回の処分理由として「インドネシアの反ドーピング機関が効果的な検査プログラムを実施していないため不適合の裁定となった」とその理由を説明している。同じく処分を受けた北朝鮮もインドネシアと同様の理由とされるが、タイは2021年の反ドーピング規定を完全に履行できなかったことが理由とされている。

これに対してインドネシアの反ドーピング機構(LADI)は「インドネシア政府はさらにドーピング監視活動に十分注意を払うべきだ。監視には限界があり、大きな組織の協力が必要だ」との立場を示してドーピング違反監視への政府のさらなる支援と協力を求めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

かじ取り誤るとデフレに戻る可能性、日銀と共通認識=

ビジネス

現在の円安「経営にマイナス」4割超、適正133.5

ワールド

暗号資産テラUSD開発者に禁錮15年、暴落で巨額損

ビジネス

米アップル、エピックとの独禁法訴訟で命令の一部撤回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中