スーパーヒーローが乗り出した「政治改革」、若者層の動きが大きなうねりに

A SUPERHERO’S NEW MISSION

2021年8月19日(木)18時48分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)

210824P40RAEDLE_CES_07.jpg

フロリダ州の2018年の高校乱射事件の後、生徒たちは銃規制の強化を求める政治運動を始めた JOE RAEDLE/GETTY IMAGES

だが一方で、進歩的な若い有権者は年配の有権者よりも党派的忠誠心が薄いようだ。中道右派のシンクタンクのニスカネン・センターが20年に実施した調査では、共和党支持ではないZ世代の約3分の1が、将来の選挙では共和党への投票を検討する可能性もあると回答した。

ラトガース大学のマットによれば、この世代は表向きの支持政党に関係なく、きれいごとを並べて自分たちの支持を得ようとする候補者を嫌う傾向がある。「ア・スターティング・ポイント」がZ世代の有権者に受けている理由は、どの党の議員にも自由に、編集なしで発言させている点にあるのかもしれない。「彼らは本物を求めている」と彼女は言う。

昨年ノースウェスタン大学を卒業したばかりのジェレミー・サザランド(23)は、どちらの党の主張にも関心を寄せるZ世代の典型だ。「私は根っからのリベラルで、そのスタンスを変えるつもりはない」と彼は言う。「でも自分と意見が違う人々の主張に耳を傾けるのも大事だと思っているし、彼らがなぜそう思うのかを理解したい」

党派色を出さない「ア・スターティング・ポイント」の動画は、学生たちにさまざまな社会参画プログラムを提供しているクローズアップ財団との連携を通じて、各地の高校の教材にも使われている。同じく草の根の政治活動を支援するブリッジUSAとも連携しているから、大学生の間の認知度も高まっている。

Z世代の政治参加を促すためのこうした取り組みは、彼らが既に異例なほど政治に参加している現状を考えれば、必要ないように思えるかもしれない。

だが、とCIRCLEのキエサは言う。昨年の大統領選で投票したZ世代は確かに多かったが、彼らを本格的に政治に参加させるにはもっと努力が必要だ。「若い人は、候補者陣営から支持を求める電話や手紙などの接触を受けるケースが、他の世代よりもずっと少ない」と彼女は言う。「特に共和党は、若者に支持を訴える努力が不十分だ」

学校で得られる情報はあまりに不十分

有権者登録と投票の仕組みも、Z世代を取り込む上での障害になりがちだ。「彼らの多くは大学入学や卒業に伴う引っ越しで住所が変わる」とキエサは言う。「そうなると、どこで有権者登録をするのか、どこで投票するのかという点において構造的な問題が生じる」

高校の授業ではこのような問題について、生徒たちに解決策をほとんど示していないし、大学で得られる情報はさらにいいかげんなものだとはキエサ言う。加えて、共和党の強い複数の州では投票権の行使を制限するように選挙法を修正する動きが相次いでいる。今後はこれまで以上に若者たちが投票しにくくなるのは確実だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

欧州委、XのAI「Grok」を調査 性的画像生成巡

ワールド

中国、春節中の日本渡航自粛勧告 航空券無料キャンセ

ワールド

OPECプラス有志国、3月の据え置き方針維持か 2

ワールド

インドネシア中銀理事に大統領のおい、議会委員会が指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中