最新記事

東京五輪

異例づくめの東京五輪が閉幕へ メダル最多の日本、「バブル」外で感染急増

2021年8月8日(日)10時09分
国立競技場に灯された聖火

異例の無観客開催となった東京五輪は、猛暑の中で行われた17日間の熱戦が閉幕する。写真は国立競技場に灯された聖火。7月23日撮影(2021年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

異例の無観客開催となった東京五輪は8日、猛暑の中で行われた17日間の熱戦が閉幕する。開催国の日本に過去最多のメダルをもたらす一方、国内の新型コロナウイルス感染者数も過去最多を更新し続けた。1年の延期で選手が難しい調整を迫られる中、心の健康、さらには多様性、圧政といった社会的、政治的な問題に焦点を当てる大会にもなった。

「2つの世界」

世界のアスリートが戦いを繰り広げ、日本が過去最多56個のメダル(8月7日時点)を取る中、大会期間中のコロナ感染は専門家の警鐘どおり東京を中心に急拡大した。7月1日に1741人だった全国の1日の感染者は開幕前日の22日に5000人を突破、29日には1万人を超えた。開会式から8月6日までに計14万4012人の新規感染者が確認され、コロナ禍が始まってからの累計は100万人の大台に乗せた。

一方、外界と切り離された五輪の「バブル」内は感染が抑制された。当初は事前合宿で来日した選手団の間で陽性者が出るなどバブル内の感染が懸念されたが、陽性が確認された大会関係者は8月7日時点で計404人。国際オリンピック委員会(IOC)によると陽性率は0.02%(7月末時点)で、東京都の22.3%(8月6日時点)とは対照的だ。

今大会では新種目のスケートボードなどで若い選手が大活躍したが、最近のコロナ感染は10代や20代の若者の間で広がっている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長はデルタ株の影響だけではないとし、「オリンピックをやることが人々の意識に与えた影響はあるのではないか」との考えを示している。

救急医として東京五輪の会場に派遣された医師の横堀将司さんは、ロイターの取材に「今、2つの異なる世界にいる」と語った。横堀さんが勤務する日本医科大学付属病院の高度救命救急センターは感染第5波の最前線に立ち、重症病床が満杯の状態にある。横堀さんはバブルの内と外を「天国と地獄のよう」と表現した。

心の健康や多様性も焦点に

多様性をテーマとして掲げた東京五輪には、ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなど性的少数者(LGBTQ)を公表して参加する選手が過去最多の160人を超えた。

特に関心を集めたのが、トランスジェンダーの選手として初めて、生まれた性別とは別のカテゴリーで五輪に参加したローレル・ハバード(ニュージーランド)だ。

IOCは、一定の基準を満たせばハバードのような選手が女子競技で戦うことを認めている。一方で、元選手や女性の権利を提唱する人たちの間には、元男性だったハバードは身体的に有利で不公平との声もあり、意見を2分する争点となった。

ハバードはわずか10分で途中棄権となったが、「歴史的な出来事とされるべきでない」とし、「私たちが新しい、より理解の深まった世界に移っていくにつれ、私のような人たちもただの人間であるということを、皆理解し始めると思う」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

新興国の国債発行も動揺、トランプ氏のグリーンランド

ワールド

中国の対アフリカ融資、24年に半減 元建てに移行=

ビジネス

アングル:第3四半期決算、来期の増益確度が焦点 衆

ビジネス

金利上昇「マイナスの方が大きい」、44.3%に上昇
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中