最新記事

リーダーシップ

全米230万人が読んだ、イラクの戦場で生まれたリーダーシップ論

2021年7月20日(火)18時23分
ジョッコ・ウィリンク、リーフ・バビン

それではなぜ、本を書くことを選んだのだろう? 戦場のリーダーとして、私たちは成功や失敗を通して、この上なく貴重な教訓を学んだ。間違いを犯してはそこから学び、何がうまくいき、何がうまくいかないのかを突き止めた。シールズのリーダーたちを訓練し、私たちが学んだ原則を彼らが実行して、厳しい戦場でやはり成功を勝ち取る姿を目にした。

その後、民間企業と仕事をした際にも、戦場のリーダーシップの原則が、研修した企業や幹部の方々を勝利に導くのを改めて目の当たりにした。そのうちシールズ・チームからも、クライアント企業の方々からも、「リーダーが参照できるように、お二人が学んだ教訓を具体的な文書にしてくれませんか?」と依頼されるようになった。

そう、このリーダーシップの原則を次世代のために記録しようと、この本を書いたのだ。そうすれば、原則は忘れられず、戦争が始まったり終わったりするたびに、貴重な教訓を学び直す必要も、さらに血を流して書き直す必要もなくなる。

私たちは、このリーダーシップの教訓が戦場を超え、今後もリーダーシップが必要なあらゆる状況でチームに影響を及ぼせるよう、この本を書いた。人が集まって目標や任務の達成に取り組む、企業やチームや組織の役に立つように。リーダーシップを発揮し、勝利を収めるために学んだこの原則を、あらゆる場所にいるリーダーたちが活用できるように。

では、そんな本を書く私たちは、一体何者なのだろう? 人は思うかもしれない。「『リーダーシップの本が書ける』なんて思う人間は、自分自身を『すべてのリーダーの憧れの的だ』と信じてるに違いない」と。

だが、私たちは完璧からはほど遠い人間だ。相変わらず学び続けているし、リーダーとしても日々成長を続けている。自分自身に正直なリーダーなら、必ずそうするように。リーダーとして数々の試練を経験し、貴重な教訓を学べたのは、ひとえに幸運だったからだ。この本は、そうした教訓を高みからではなく、自分たちの不手際の傷跡が今も残る場所から謙虚にお伝えしたいという、私たちの精いっぱいの取り組みなのだ。

※後編に続く:米海軍特殊部隊が培った「リーダーシップ論」が、仕事や生活に役立つと言える訳

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、EUが凍結資産を接収すれば「痛みを伴う対応

ビジネス

英国フルタイム賃金の伸び4.3%、コロナ禍後で最低

ビジネス

ユニリーバ、第3四半期売上高が予想上回る 北米でヘ

ワールド

「トランプ氏は政敵を標的」と過半数認識、分断懸念も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中