コロナ収束の近未来に、確実に勃発する「リモートvs出社」バトル
WE'RE HEADED FOR A REAL CLASH
ジョージア州アトランタのマーケティング部長であるヘザー・クープライダーは、毎朝の瞑想と散歩と朝食が習慣になった。慌ただしく出勤していた頃よりはるかに幸せで集中できているという。2人とも新たに手にした自由を失いたくないようだ。
一方で、リモートワークでは孤独感が強過ぎたり、家族がいたりするので、1週間のうち何日かは出社勤務をしたいという社員もいる。若い社員は特に、社内の現場で企業文化を吸収したり先輩の助言を得たりすることを必要としている。
ウェイクフィールド・リサーチは昨年10月、労働者の90%が職場を恋しがっているとの調査結果を発表。特に友人やチームの仲間(47%)、休憩中の雑談(31%)、福利厚生の無料ランチ・軽食(36%)などが恋しいようだ。
ハイブリッドな解決策を模索
希望する出社日数は個人差が大きく、管理職はその調整に頭が痛い。PwCが昨年11~12月に実施した調査では、1週間のうち5日はリモート勤務を希望する社員は29%、2~3日が35%、4日が10%、1日が10%。フルに出社したいと回答した人は8%だった。
希望が通らなかったらどうするのか。リモートワークを一切認めない企業では働かない──全体の54%の社員がそう考えていることが、今年2月に実施されたハリス社の世論調査で明らかになった。
しかし、リモート勤務が多くなり過ぎるとリスクもあると専門家は指摘する。出社勤務する人に比べて軽視される、重要な決定に加われない、昇進回数が減る、職場での人間関係がうまくいかない、長時間働いても評価されない、などだ。
上司から出社勤務を命じられたら、ほとんどの場合、パンデミックの最中であろうと法的には拒否しづらい。雇用機会均等委員会(EEOC)は昨年6月に企業向けのガイドラインを更新。従業員は特別な事情がない限り、新型コロナに感染するのが怖いという理由で出社勤務を拒否することはできないとしている。
それでも米国身体障害者法(または病気の家族の世話をする場合は育児介護休業法)の対象となる状況であれば、リモートワークを希望することはできる。連邦法および州法では、雇用主はフェイスマスクの義務付けなど適切な安全対策を講じなければならない。
家で子供の面倒を見るのは従業員の責任で、コロナ禍で有償の保育サービスが利用できなくても、昨年3月に制定された家族ファースト新型コロナウイルス対策法により、最大12週間の有給休暇(1日200ドルまで)を取得できる。