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バッハ会長らの日本侮辱発言の裏に習近平との緊密さ

2021年5月26日(水)20時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

つまり中国はウイグル問題を抱えており、そのためにアメリカなど西側諸国から2022年の北京冬季五輪ボイコットの動きが出始めている。日本は東京五輪があるので決して北京五輪ボイコットとは言わないだろう。だから東京五輪を支援する。

また、もし東京五輪が中止になったとすれば、それはコロナ感染のためだ。

コロナ感染を拡大させたのは、2020年1月の春節期間に習近平が「武漢は封鎖しているのでコロナ感染はすでに安全でパンデミック宣言をする必要はない」とWHOのテドロス事務局長に言わせたことに大きな原因がある(詳細は2020年1月27日のコラム<「空白の8時間」は何を意味するのか?――習近平の保身が招くパンデミック>や2020年1月31日のコラム<習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす>など)。

コロナ感染責任論が爆発的に持ち上がってくるのを習近平は恐れている。

だから東京五輪はどんなことがあっても断行してほしいのである。

上記の5月7日の習近平・バッハ電話会談では、バッハは以下のような趣旨のことを強調している。

●中国がコロナ感染を世界に先駆けて克服し経済回復を果たして、全世界のコロナ克服に協力し、世界経済の回復に重要な役割を果たしていることを祝賀する。

●中国とともにワクチン接種に協力していきたい。

●国際オリンピック委員会はオリンピック憲章を守り、オリンピック運動が政治化することに断固反対する。

すなわち、習近平はバッハに「ウイグル人権問題を理由にして北京冬季五輪をボイコットするようなことがあってはならない」ということを主張してもらっているのである。

そのようなことが「可能か?」と疑問に思われる方たちのために、習近平とバッハの緊密ぶりをご覧いただこう。

習近平とバッハの緊密ぶり

東京五輪は今年の7月で、北京冬季五輪は2022年2月だ。

目前に迫った東京五輪に関して、緊密な話し合いが成されてしかるべきとすれば、中国より日本だろう。

しかし実態はその逆で、日中両国首脳による電話会談などの接触は、今年に入ってからは圧倒的に中国の方が多い。

3月11日におけるIOC総会では、バッハは東京五輪に関して「中国がワクチン提供をする用意がある」と、中国を持ち上げている。

その緊密ぶりが分かるように、バッハの動向および日中首脳とバッハとの対面会談・電話会談などを時系列的にお示しする。

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データは日中それぞれの外務省および外交部HPの関連情報に基づく。

赤は中国関係で青は日本関係、バッハ自身の動向は黒にしたが、2021/2/12の動向は、習近平に宛てた祝辞なので赤文字にした。

表から明らかなように、2021年に入ってから、日本国首相との電話会談などの接触はなく、専ら習近平と行っていることがわかる。

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