最新記事

米中関係

ピンポン外交50周年 当時15歳の女子選手が目にした中国の今昔と舞台裏

PING PONG DAYS IN CHINA

2021年5月14日(金)12時40分
スコット・マクドナルド
2009年の米中国交30周年の催しで交流試合を行うボチェンスキー(右、北京)

2009年の米中国交30周年の催しで交流試合を行うボチェンスキー(右、北京) ANDY WONGーPOOLーREUTERS

<15歳で訪中した米女子卓球選手が語る半世紀前の中国、そして緊迫する現在の両国関係にスポーツができること>

1971年4月、卓球のアメリカ代表チームに世界の目が注がれた。といっても、その実力が注目されたわけではない。3月下旬から日本で開催されていた世界卓球選手権の直後、期せずして中国に招かれたのだ。

米代表は4月10日に中国に入り、8日間にわたって滞在した。中華人民共和国が1949年に建国されて以来、アメリカ人として初めて訪問した彼らは大歓迎を受けた。

米代表は中国チームと交流試合を行い、政府の要人たちにも会った。彼らの訪問は米中が歩み寄るきっかけとなり、79年の国交正常化につながった。「ピンポン外交」と呼ばれるこの出来事は、スポーツが政治の壁を打ち破った事例として歴史に深く刻まれている。

2022年、北京五輪ボイコットの呼び掛け

しかしピンポン外交50周年に当たる今年、米中関係は緊張状態にある。通商関係から人権問題、新型コロナウイルスの発生源をめぐる論争に至るまで対立点が山積みだ。スポーツが国家間の壁を打ち破るどころか、一部の米政治家は2022年に予定される北京冬季五輪のボイコットを呼び掛けている。

71年に中国を訪れた選手の1人、ジュディ・ボチェンスキーはオレゴン州に住む15歳だった。彼女はあのときのことを、今もはっきりと覚えている。

万里の長城には驚いた。どこへでも付いてくる中国の報道陣にも、びっくりするばかり。共産主義のプロパガンダや毛沢東主席の写真が、やたらと目に付いたことも忘れない。

あの頃の中国人は豊かではなかったと、ボチェンスキーは言う。テレビや電話を持っている人はほとんどおらず、外界の情報を得る手段がなかった。みんな画一的な人民服を着ており、女性は髪が短く、スカートやドレスで着飾る人はいなかった。

中国は学校で習ったような国ではないと、ボチェンスキーは思った。「中国について学校で勉強したのは、歴代の王朝をはじめ、長く輝かしい歴史のことばかりだった」と、ボチェンスキーは言う。「共産主義革命があったことは知っていても、現代の中国についてはほとんど知識がなかった。たいていのアメリカ人がそうだったと思う」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均先物が急伸、高市首相が衆院解散を検討と報道

ビジネス

12月米雇用、5万人増に鈍化 失業率は4.4%に低

ワールド

イエメン分離派が分裂、一部が解散発表 指導者側は否

ワールド

イランが国外と遮断状態に、最高指導者「トランプ代理
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 9
    「ならず者国家」への道なのか...トランプ、国連気候…
  • 10
    285カ所で抗議活動、治安部隊との衝突で36名死亡...…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 8
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 9
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中