【フェミニズムの入門書8選】これから勉強する方におすすめ本を紹介
(4)ハンナ・マッケンほか『フェミニズム大図鑑』
英語圏のフェミニストが執筆した、文字通りヘビー級の図鑑です。英国における近代フェミニズムから、平塚らいてう、家父長制、ライオット・ガールムーブメント、オンラインフェミニズムなどの最前線のテーマまで百家争鳴のフェミニズムをわかりやすく紹介しています。
当時の広告や報道写真、風刺画のほか、著名なフェミニストたちの肖像写真やプロフィールなどもオールカラーで掲載されており、文字でしか知らなかったあの歴史上の人物に一気に親しみがわくというミーハーな気分も満たしてくれます。
「フェミニズムとは何か? その答えはここにある」という序文につづられた力強い一節に間違いありません。フェミニズムが現在進行形で国際的なムーブメントであることを実感する1冊です。
フェミニズム大図鑑
created by Rinker
(5)大越愛子『フェミニズム入門』
2021年3月にこの世を去った大越愛子の代表作です。少し学びを進めた方のためのフェミニズム理論・思想入門です。
内容
・リベラルフェミニズムからポストモダンフェミニズム、ポストコロニアルフェミニズムなどフェミニズムの諸潮流の解説
・ジェンダー、セクシュアリティなどのキーワードの解説
・『青鞜』から発展した日本のフェミニズムの紹介
上記のような基礎的なテーマを押さえつつ、ケアの倫理やポルノ論争などフェミニストでも意見の割れる新しいテーマも扱っており、1996年に書かれたものとは思えないほどです。
大越は本書を通して、フェミニズムがジェンダー、セクシュアリティ、リプロダクションの3点を問題とすることで、これまで男性がつくり上げてきた文化や社会、思想の体系が、いかに限定的で欺瞞にみちているかを暴いてきたと繰り返し主張します。
フェミニズムは、それらの体系を解体しようとする日常的、理論的実践であるとし、この解体のあとにこそ、私たちの意識や生き方、身体感覚や性的快感がようやく自由になり、尽きせぬ生の快楽の泉があるのだと述べ、筆をおきます。
大越のバトンを引き継ぐためにも、大越フェミニズムのそこはかとなくポジティブな構想に、ぜひ直接触れてみることをおすすめします。
フェミニズム入門 (ちくま新書)
created by Rinker
(6)シンジア・アルッザほか『99%のためのフェミニズム宣言』
99%のためのフェミニズム宣言
created by Rinker
「私たちはまだ連帯できる――ほんとうの敵は資本主義だ」
マルクスの『共産党宣言』を一度読まれた方ならすぐにピンと来るかもしれません。1%の富裕層ではなく、「99%の私たち」のための連帯を呼びかけるこの本は、フェミニストによる、フェミニストのための反資本主義フェミニズム宣言です。
2021年4月現在、「報道ステーション」のCMの炎上をめぐって、新自由主義の価値を体現したポストフェミニズムに注目が集まっていますが、個の成功のみが追求され、私たちの生がずたずたに分断されている状況に、正面から待ったをかける胸アツ必至の1冊となっています。
参考
ちなみに、大学院生で訳者の恵さんは3ピースバンドBROTHER SUN SISTER MOONのベース&ヴォーカル担当です。→BROTHER SUN SISTER MOONについてより詳しくこちら
全て英詞のオルタナティブ・ポップ・ロックは読書中のBGMにおすすめ。→こちらから聞くことができます