最新記事

女性論

【フェミニズムの入門書8選】これから勉強する方におすすめ本を紹介

2021年4月21日(水)14時24分
リベラルアーツガイド
フェミニズムのイメージ

フェミニズムは一見、難しいが、実は身近な問題だ YULIIA POLIASHENKO-iStock.


リベラルアーツガイドは、人文社会科学系学問の振興をめざし、修士以上の研究者有志が中心となって現代社会と関わりの深いトピックについてやさしく解説しているサイトです。

何かと話題のフェミニズムですが、フェミニズムは運動・思想でありながら、女性学やジェンダー研究として学術的にも確立している分野です。

SNSでフェミニズムに触れ興味を持ちはじめた方やこれから学ぶ方には、まずは入門書がおすすめです。この記事では、初学者に向けて紹介しています。

ぜひ興味のあるものから手に取ってみてください。


リベラルアーツガイドは人文社会科学系学問をより多くの人が学び、楽しみ、支えるようになることを目指して運営している学術メディアです。

ぜひブックマーク&フォローしてこれからもご覧ください。→Twitterのフォローはこちら

(1)木村涼子ほか編『よくわかるジェンダースタディーズ』

女性学・ジェンダー研究の学びの入り口としておすすめの本を1冊だけ挙げろといわれれば、迷わずこれを選びます。

「性別分業」「近代家族」「エクリチュール・フェミニン」「暴力」......ほとんどが見開き1ページで各テーマを紹介しており、紙幅の関係で物足りない部分はあるけれども、各分野での必読文献が紹介されており入り口としてぴったりです。

とくに第1章の「ジェンダースタディーズの理論」では、以下の論者が解説しており、ジェンダー論の見取り図を俯瞰するうえで必読のパートとなっています。

・上野千鶴子:運動史から女性学・ジェンダー研究の発展を紹介する

・江原由美子:第一波フェミニズムの誕生から現代フェミニズムまでの論点整理する

・荻野美穂:女性史のインパクトを紹介する

そのほか、文化、社会、身体ほか最新のトピックまで、最前線で活躍する鼻血級の豪華執筆陣が論点を幅広くカヴァーしています。

book202104211419_01.jpgよくわかるジェンダー・スタディーズ―人文社会科学から自然科学まで (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
created by Rinker

(2)ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの――情熱の政治学』

アメリカのブラック・フェミニズムの代表的旗手であるベル・フックスによるフェミニズムの入門書です。

アンチ・フェミニズムという大攻撃の嵐のなか、フェミニズムを学問の世界だけに閉じ込めておくのはもったいないと、フェミニズムの理念と意義、展望、そして運動論としてのコンシャスネスレイジングのハウツーなどを熱っぽく、非常にわかりやすく論じています。

フックスによれば、フェミニズムとは「性にもとづく差別や搾取や抑圧をなくす運動のこと」です。

彼女の、「さぁ、近くへ来なさい。そうして、フェミニズムがどんなに、あなたの人生やわたしたちにみんなの人生に影響を与え、変えることができるかを、ごらんなさい。近くに来て、まずフェミニズムとはなんなのかを知りなさい」という声に誘われて、フェミニズムの可能性をあなたも一緒に探ってみませんか?

book202104211419_02.jpgフェミニズムはみんなのもの: 情熱の政治学
created by Rinker

(3)佐藤文香監修『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問』

フェミニズムやジェンダー論の初学者にとって、身近な人から疑問を投げかけられたことや、それについて反射的にうまく答えられなかったもどかしさというものは案外共通する体験なのかもしれません。

本書は一橋大学社会学部の「ジェンダー研究のゼミに所属している」学生たちが、友人・知人から投げかけられた「問い」に悩みながらも真摯に向き合い、誠実に回答したQ&A集です。

「女子校の意義ってなに?」「女性専用車両って男性への差別じゃない?」「性暴力って被害にあう側にも落ち度があるんじゃない?」等々あるあるな29の質問に対し、学生たちが「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」と段階的に答えています。

ジェンダー論のゼミに所属している学生によるものというだけあって、各回答には先行研究の理論的背景や争点、必読文献も明記されており、ジェンダー論を学ぶ第一歩としてぴったりです。

book202104211419_03.jpgジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問
created by Rinker

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

オーストラリア、軍用無人機「ゴーストバット」発注 

ビジネス

豪中銀、予想通り政策金利据え置き インフレリスク警

ワールド

EU、環境報告規則をさらに緩和へ 10日草案公表

ワールド

中国外相「日本が軍事的に脅かしている」、独外相との
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中