最新記事

AI

ニルヴァーナ、ドアーズ、ジミヘン、A・ワインハウスが新曲!? AIがよみがえらせた

2021年4月16日(金)18時00分
松丸さとみ
ニルヴァーナのカート・コバーン

ニルヴァーナの曲をAIが学習し、新たな曲が作られた (写真は2018年「カート・コバーン展」にて REUTERS/Clodagh Kilcoyne) 

<若くして亡くなった伝説のロック・ミュージシャン、カート・コバーン、ジム・モリソン、エイミー・ワインハウス、ジミ・ヘンドリックスの曲を、それぞれAIに学習させ、曲が作られた...... >

27歳で亡くなったアーティストたちの曲をAIが学習

かつてカリスマ的な人気を誇っていた米国のバンド、ニルヴァーナの曲をAI(人工知能)が学習し、「ニルヴァーナ風味」の新たな曲を作り出した。

ニルヴァーナは1989年にデビューし、グランジ・ロックの代名詞となったが、1994年にボーカルのカート・コバーンが27歳の若さで自殺し、解散したバンドだ。

そのニルヴァーナの曲を書いていたコバーンの特徴をAIに学習させ、ニルヴァーナ風の曲『Drowned in the Sun』(太陽に溺れて)が作られた。

AIに曲を学習させたのは、音楽業界のメンタルヘルスに関する問題を扱うカナダの非営利団体オーバー・ザ・ブリッジだ。ニルヴァーナの他、同じく27歳で亡くなったジム・モリソンや、エイミー・ワインハウス、ジミ・ヘンドリックスの曲をAIに学習させた。

これらは、『The Roads Are Alive』(ドアーズから学習)、『Man, I know』(ワインハウスから学習)、『You're Gonna Kill Me』(ヘンドリックスから学習)として、同団体が手掛けるプロジェクトのアルバム『ロスト・テープス・オブ・ザ・27クラブ』に『Drowned in the Sun』と共に収録され、現在、スポティファイユーチューブで公開されている。

アルバムはメンタルヘルスの問題の啓発が目的で、販売の予定はないという。

(ニルヴァーナから学習)Drowned in the Sun - Lost Tapes of the 27 Club
(ドアーズから学習) "The roads are alive"
(エイミー・ワインハウスから学習)Man, I Know - Lost Tapes of the 27 Club
(ジミ・ヘンドリックスから学習)『You're Gonna Kill Me』

不可解なニルヴァーナの歌詞はAIの得意技?

一連の楽曲を作ったのは、グーグルのAIプログラム「マゼンタ」だ。2016年に始動したオープンソースのプロジェクトで、機械学習を用いて芸術や音楽を創作することを目標にしている。

オーバー・ザ・ブリッジのショーン・オコナーが米ローリング・ストーン誌に語った話によると、まず、それぞれのアーティストの曲について、サビ、ソロ、ボーカル・メロディ、リズムをバラバラに分解したものを、20~30曲ほどAIに聴かせた。それをAIが分析し、音を作るというプロセスだったという。

オコナーによると、ある程度まとまった量のリフ(コード進行やメロディ)を学習させると、AIはそこから5分ほどのリフを作り出すが、90%は聞くに堪えない音だという。その中から、実際に人間が聞いて、良さそうな部分を見つける、という作業を重ねていった。1曲を作り上げるまでに、マゼンタの技術者やオーディオ・エンジニア、音楽プロデューサーなどかなりの人手がかかっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中