ニルヴァーナ、ドアーズ、ジミヘン、A・ワインハウスが新曲!? AIがよみがえらせた
ニルヴァーナらしい曲をAIで作るのは難しかった、とオコナーはローリング・ストーン誌に打ち明ける。例えばジミ・ヘンドリックスのような特徴的な曲を多く書いていたアーティストと比べ、コバーンのメロディはそうではなかったからだ。
歌詞については、アーティストの歌詞を入力すると、そのリズムや調子をもとにAIが新たな歌詞を完成させるというプロセスだったが、この点については、ニルヴァーナはAIに合っていたようだ。
英デイリーメール紙は、「AIは感情表現が苦手なことで知られているが、コバーンの歌詞は不可解なものが多かったため、マゼンタによる『Drowned in the Sun』の歌詞は真実味溢れている」と書いている。
亡くなったアーティストの曲をAIが作る是非
曲の演奏はすべてAIだが、ボーカルは100%、人間が歌っている。どの曲も、実際にそのアーティストのトリビュート・バンドなどで活動しているアーティストがボーカルを務めた。
『Drowned in the Sun』は、ニルヴァーナのトリビュート・バンドのボーカルとして、米アトランタを拠点に活動しているエリック・ホーガンが担当した。コバーンならどう歌っただろうかと考えながらのレコーディングは奇妙な感じだった、とローリング・ストーン誌に語っている。
ホーガンはまた、『Drowned in the Sun』の歌詞について、ニルヴァーナのものと比べるとストレートな歌詞だという印象を受けたが、それでもコバーンらしさは失われていないと話している。
亡くなったアーティストの楽曲をAIが作ることについて、倫理に反するという考えもあるだろう。ボーカルのホーガンは、「将来的に(AIの楽曲が)法的にどうなるかは分からない。AIが本当にいい音楽を作り出したら、問題になるかも」と同誌に話した。
しかしアルバムを作った理由についてオーバー・ザ・ブリッジは、メンタルヘルスの問題が原因で失われた才能を世間に示すためだと説明している。メンタルヘルスの問題をひとりで抱えずに支援を得るよう、こうした作品を通じて啓発することが目的だ。
「AIをもってしても、本物の替えにはならない」と、『ロスト・テープス・オブ・ザ・27クラブ』はウェブサイトに綴っている。同サイトはまた、ミュージシャンの71%が不安症やパニックアタックを、68%がうつをそれぞれ経験しており、音楽業界で働く人の自殺未遂は、一般の人の倍になる、というデータを掲載している。