最新記事

AI

ニルヴァーナ、ドアーズ、ジミヘン、A・ワインハウスが新曲!? AIがよみがえらせた

2021年4月16日(金)18時00分
松丸さとみ

ニルヴァーナらしい曲をAIで作るのは難しかった、とオコナーはローリング・ストーン誌に打ち明ける。例えばジミ・ヘンドリックスのような特徴的な曲を多く書いていたアーティストと比べ、コバーンのメロディはそうではなかったからだ。

歌詞については、アーティストの歌詞を入力すると、そのリズムや調子をもとにAIが新たな歌詞を完成させるというプロセスだったが、この点については、ニルヴァーナはAIに合っていたようだ。

デイリーメール紙は、「AIは感情表現が苦手なことで知られているが、コバーンの歌詞は不可解なものが多かったため、マゼンタによる『Drowned in the Sun』の歌詞は真実味溢れている」と書いている。

亡くなったアーティストの曲をAIが作る是非

曲の演奏はすべてAIだが、ボーカルは100%、人間が歌っている。どの曲も、実際にそのアーティストのトリビュート・バンドなどで活動しているアーティストがボーカルを務めた。

『Drowned in the Sun』は、ニルヴァーナのトリビュート・バンドのボーカルとして、米アトランタを拠点に活動しているエリック・ホーガンが担当した。コバーンならどう歌っただろうかと考えながらのレコーディングは奇妙な感じだった、とローリング・ストーン誌に語っている。

ホーガンはまた、『Drowned in the Sun』の歌詞について、ニルヴァーナのものと比べるとストレートな歌詞だという印象を受けたが、それでもコバーンらしさは失われていないと話している。

亡くなったアーティストの楽曲をAIが作ることについて、倫理に反するという考えもあるだろう。ボーカルのホーガンは、「将来的に(AIの楽曲が)法的にどうなるかは分からない。AIが本当にいい音楽を作り出したら、問題になるかも」と同誌に話した。

しかしアルバムを作った理由についてオーバー・ザ・ブリッジは、メンタルヘルスの問題が原因で失われた才能を世間に示すためだと説明している。メンタルヘルスの問題をひとりで抱えずに支援を得るよう、こうした作品を通じて啓発することが目的だ。

「AIをもってしても、本物の替えにはならない」と、『ロスト・テープス・オブ・ザ・27クラブ』はウェブサイトに綴っている。同サイトはまた、ミュージシャンの71%が不安症やパニックアタックを、68%がうつをそれぞれ経験しており、音楽業界で働く人の自殺未遂は、一般の人の倍になる、というデータを掲載している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中