「ワクチンは安全」という信頼、日本は世界最低レベルだった
誤報が瞬時に拡散することが、世界的な予防接種プログラムの脅威
この分析結果では、ワクチンの安全性や有効性よりも、その重要性への信頼が予防接種につながることも示されている。研究論文の共同著者であるロンドン大学衛生熱帯医学大学院の研究員クラリッサ・サイマス医師は「保護者がワクチンの安全性に疑問を持っているとしても、それゆえに、子どもに予防接種させる重要性を無視するとは限らない。一般国民は概ねワクチンの価値を理解しているが、公衆衛生当局や科学者コミュニティは、ワクチンの安全性について国民の信頼を確立できるよう、さらに努める必要がある」と説いている。
研究論文の筆頭著者で「ワクチン・コンフィデンス・プロジェクト」のディレクターを務めるハイジ・ラーソン教授は「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行のような新たな疾病の脅威に備えて、ワクチンに対する世論の動向をモニタリングし、ワクチンへの信頼が低下している国や集団を早期に特定することが重要だ」と強調したうえで、「誤報が瞬時に世界中に拡散してしまうことが、世界的な予防接種プログラムの脅威のひとつとなっている。予防接種率の大幅な低下は、往々にして、根拠のないワクチンの安全性への疑念や不信によるものだ。また、ワクチンの議論が意図的に二極化され、疑念を持つ民衆や制度の弱点が政治的な目的に利用される一方で、政府や科学のエリート層への不信が、ワクチンへの信頼の低下を招くこともある」と懸念を示している。