インスタントラーメン、ロックダウン時のアメリカでバカ伸び NYTのレビューで高評価の韓国商品が躍進
スナックから主食へ「格上げ」
ここまで急激に売り上げが伸びた要因は様々だが、やはり冒頭にも挙げたようにコロナウイルスによる世界的巣ごもり生活の非常食として買い求める人が多かった点が大きいだろう。また、それまではインスタントラーメンと言えばただ安くて、料理をしたことがない人でも手軽に作れる食品として、貧乏学生や一人暮らしのおやつというイメージが強かった。実際日本でもおなじみの会社「マルちゃん」の袋入りインスタントラーメンは、たったの40円程度で購入できる。
一方では、ここ最近日本や韓国の多様なラーメンがどんどん輸入されるようになり、1個1ドルを超える商品も増えてきた。しっかりした味付けに具材の豊富さ、また日本語の"ラーメン"という料理名の普及により、スナック感覚だったインスタントラーメンが、主食になるものという認識に変わってきたのも、アメリカでの売り上げアップに繋がったといえる。
NYTのレビューで韓国ラーメンが躍進
それでは、なぜ数多くあるライバル商品の中から韓国のインスタントラーメンに注目が集まるようになったのだろうか? それは今年の6月17日、ニューヨークタイムズ紙のレビューサイトであるワイヤーカッターが発表した「The best instant noodles(世界で一番おいしいインスタント麺)」ランキングで、なんと1位に「辛ラーメンブラック」が選ばれたことが影響している。数年前から、筆者の地元のスーパーマーケットでも、通常の「辛ラーメン」より2倍近い高額で売られている「辛ラーメンブラック」が売り切れているのをよく見かけるようになった。
辛ラーメンブラックは、特製豚骨粉末スープが付くなど、よりおいしさを追求した商品である。徐々にマスコミに注目されるようになり、興味を持った消費者が興味本位で購入して食べて見ると美味しかったのでリピート買いしているのではないかと推測される。
また、今年2月に韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が米国アカデミー4冠に輝くと、作品内に登場したインスタントラーメン料理「ジャパグリ」が注目を集めるようになった。ジャパグリとは、農心食品が発売している汁無し麺「ジャパゲッティ」とラーメン「ノグリ」を合わせて作る創作メニューのことだ。
実は2013年の6月にMBCで放送された人気バラエティー番組『パパ、どこ行くの』で紹介され、韓国で一世風靡した食べ方である。それが、『パラサイト』に登場し、世界中から映画が注目されるとともに、ジャパグリの知名度も上がっていった。こういった波をキャッチするのが上手い韓国だけに、農心もさっそく「ジャパグリの作り方」を各国の言語字幕付きで世界へ発信を開始し話題となった。